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お題
1




晴れの日は嫌いだ。
正しくは嫌いになった、のだ。





花村 仁との生活にも慣れた。
嘘を付くのも、愛想笑いも。
花村 仁を騙すという計画は着々とうまくいっている。

ほんと、笑えるくらいに。

でも一方で僕の心は曇っている。
後少しで復讐が果たせるというのに一行に心が晴れない。僕の心とは正反対のこの雲一つない晴天が僕には眩しかった。





「真」

最近になってからだ、仁が僕を名前で呼びまた、僕も“仁さん”と花村 仁を呼び始めたのは。これまでは名前を呼ぶことなく、いきなり会話が始まったりしていた。
このことからも僕と仁の距離が最初から比べて格段と狭くなったのが窺える。

「何………?」

上目遣いで見上げれば仁はイチコロだ。
少し顔を反らして僕を見る。
テレビの中ではどんな役だって見事に演じきってる仁は僕の前だと無防備になるのだ。演じられない…そのままの本当の花村 仁なのだ。
……それが何故か、苦しかった。
また反面、僕だけが本当の仁を知っているんだと思うと嬉しくなったりする。演技なはずなのに、本当に喜んでる自分がいる。





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あきゅろす。
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