[携帯モード] [URL送信]

私立緑葉学園1
2




坂場 基(さかば もとき)は至って普通の高校一年生だった。両親ともに健在で強いて言えば父親が小さな会社の社長をしている。家は豪邸で、家事なども召使いが全てやってくれるなどということもない。しかも母親がてんで家事が駄目な人間だった為、家事は全て基の仕事だった。おかげで料理の腕は今ではプロ級のものになっていた。

そんな基が緑葉に入学したのは他でもない父親の見栄の為だった。さしてお金がある訳でもないのに緑葉というブランドを手に入れる為無理をして基を緑葉に入学させたのだ。もし仮に基に優れた頭があったら特待生制度を受けさせることも可能だったが、なにぶん日々を家事に追われていた基にはそっちの才はなかった。

入学して1ヶ月が経過したが、基は持ち前の順応性で直ぐに学園には慣れた。クラスでは普通に話せる友人がいくらか出来たし、寮でもルームメートと気が合い心を打ち解け合えるまでになった。何もかもが順調で基は少しそんな日々に退屈していた……。

「え……入院ですか」

ある日の放課後何もやっていなく暇な基は教室で同じく暇な友人たちと会話をして寮に帰ると管理人の古岡 兼光(ふるおか かねみつ)に呼び止められた。

「そう、入院。っても一週間だけだけどな」

事の顛末はこうだ。基のルームメートである生徒が体育の授業中にボールが頭部に激突し倒れ、病院に搬送されたところ特に内部に以上が見られなかったがその両親が大事を見て一週間入院させるて言い出したということだ。
緑葉では寮の部屋は二人部屋となっているから、つまり基は一週間一人で暮らすことになるという訳だ。

「ま、相方がいない間一人部屋を堪能してろよ」

そんな軽口を言う古岡に基は二つ返事をして一人部屋となった自室に向かった。
元来一人っ子だった基は二人部屋というのに苦を感じることはなかった。かえって喜んだくらいだった。





[前へ][次へ]

2/29ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!