私立緑葉学園1 伊織受けパート Winner:大翔 負けた。 しかも一点差で! 結果発表は直ぐに行われた。 その結果が大翔が3位で、俺が4位。 その発表を聞くや否や、大翔は嬉々とした顔で俺を引っ張って体育科教官室横にある道具の収納に使われている部屋へと連れてきた。 「じゃあ、約束通り、お前がネコな」 内側から鍵を掛けて、大翔は俺に向き合うと満面の笑みで死刑宣告を告げた。着替える間もなくこの場所に来たせいで、女装姿のままの大翔は、まさに天使の顔をした悪魔と言ったところだろう。 スポーツマンとして、勝負の勝敗は絶対だ。俺は涙を飲んで、自ら裸になろうと着ていたメイド服に手を掛けると、すかさず大翔のストップが掛かった。 「言っただろ、脱がせがいのある服だって。自分で脱いでどうする。俺が脱がすに決まってるだろ」 そういえば控え室でそんなことを言っていたような気がする。しかしまさかそれが実現することになろうとは……うう。 俺の手を止めた大翔は、続いて俺に床に膝立ちになるよう指示してきた。大翔が立っているだけに、大翔を見上げる形で床に膝立ちしているこの状況は、屈辱以外何でもない。 「じゃあ次は、スカートの端を口に咥えろ」 「はっ?」 あまりに突拍子もない大翔の指示に、情けない声が口から零れる。 「だから、そのスカートの裾を口に咥えろって言ってんの」 “言ってんの”じゃ、ない。 何を言ってるんだ。全く意味が分からない。いや、分かるけど。どういう意図で言ってやがる。 大翔の言葉にすっかり混乱している俺とは裏腹に、大翔はその様を見て笑っていた。余裕に満ちたその姿がやけに鼻につくが、今はそれ所ではなかった。 「…んっで、そんなことっ!」 「そんなの、そっちの方がエロいからに決まってんだろ」 ストレートに告げてきた!! 随分本能に忠実だ。そういうのを何て言うか知っているだろうか。 「変態っ」 光栄だとでも言うように、俺の非難の声を完璧スルーし、スカートの端を咥えるよう要求してくる。悔しいが、負けた身としては要求を飲むしかない。 自らスカートの端を持って口に咥える様は、無様であり、羞恥に身体が震える。 「良い眺めだ」 女装と言っても、俺には棄てられない男の矜持がある訳で、スカートの中は普通の男性物のボクサーパンツである。普段から着用している物で、特別な物ではない。 「変態だなんて人のこと言っておきながら、伊織こそこれだけで勃たせてんじゃねえか」 大翔の嘲笑に、俺は初めて自分が勃起していることに気付いた。身体が熱いのは羞恥に震えていたせいだけではなかったのだ。 この状況を指摘されて、更に羞恥感は高まっていく。 「男でありながら、女物の服を着て、スカートの端を咥えながら、そこオッ勃てて。―――変態」 大翔の綺麗な顔がニヒルに微笑む。 俺が言ったことを、わざわざ言い返してくるなんて―――Sだ、しかもかなりのドSだ! 悔しいが、言っていることは全て正しいことなので、何も言い返すことができない。 ただ一つの反抗として、大翔を下から睨み付けると、鼻で軽くあしらわれた。 そうこうしていると、大翔が俺に近付いて来て、目の前でしゃがんできた。大翔との近さに、胸がドキドキと脈打つ。 「どんどんえっちい染みが出来てきてるな」 大翔の視線はスカートの中、俺のパンツに注がれている。大翔の指摘に更に、じわっとパンツが濡れるのが分かる。最早そこはギンギンで、今直ぐ解放して欲しくて堪らない。 そんな俺の現状を把握していながら、大翔はただニヤニヤと見るだけで何もしてこない。 「見てるだけでイけるんじゃね?」 そんなこと出来る訳ないっ。 イきたくてイきたくて仕方がないのに、このままじゃイけない。 いっそ、プライドを全部棄てて、大翔に触ってくれるよう頼んでみようか。いや、でもそれはやはり俺の矜持が……。 そんなことをつらつらと悩んでいると、大翔が次のアクションを取ってきた。 「―――っ!」 信じられないところに、大翔の手が伸びた。 いつの間にか身体が急接近していて、大翔が正面から後ろに腕を回して俺の肛門に手を回してきた。もう片方の腕は俺の背中を逃げ出さないようにとガッチリ抑えている。 生まれてこの方、他人に触れられたことのない部位に触られ、俺は頭が一瞬真っ白になった。 そう言えば、男同士の性行為ではそこを使うことになっている。まさか自らそれを当事者、受け身として実感することになるとは思っていなかっただけに、衝撃が強い。 「離すなよ」 または“話すなよ”である。 ついスカートを咥えるのを忘れ、大翔に苦情の言葉を吐きかけようとしたら、それを察知した大翔が先回りして言ってきた。 喋って、咥えるのを忘れ、スカートの端を離すなよという要求だ。 不承不承にその要求を飲み、俺は黙って大翔の動きを受け入れ続けた。 「優しくしてやるよ」 だから安心しなと、全く持って慰めにもならない言葉を大翔が耳元で呟く。 いや、確かに痛いよりは痛くない方が良いから優しい方がいいんだけれど。 大翔は黙々と俺の後ろの穴を弄り倒す。最初は周りを、次は入り口を、そして最後はその内部を。指が一本、また一本で中に侵入してくる感覚は、気持ちが悪いとしか言いようがなかった。 「ま、大体こんなものか」 責め苦にひたすら耐えていたら、突然内部を犯していた指が全部抜かれた。異物を抜かれたというのに、俺のそこには違和感が残っている。まるで指を名残惜しいとでも言っているようで、自分の身体が信じられなくなる。 ゆっくりと大翔が俺の身体を優しく横たえ、膝立ちのまま俺は仰向けになった。 「息、止めんなよ」 そう言ってゆっくりと大翔が押し入ってきた。固い熱棒が身体の内部から裂くような感覚。痛みよりも、その熱さが身体を支配する。 完全に挿入が終わった頃には、俺の身体は汗塗れ、衣服がぐっしょりと肌に付いて離れなかった。 「いくぞ」 何処になんてボケは交わさない。 そんな余裕なんてない程に、俺はこの行為に翻弄されていた。 大翔の開始の声とともに始まった律動が、徐々に激しさを増していく。 大翔の限界も近いことを察し、俺は大翔の背中に両手を回した。 一緒に、という俺の想いが伝わったのかどうか知れないが、少しして俺たちは同時に果てた。 余韻で頭の中が真っ白になる。 「初めてで後ろだけでイくとか、有り得ないだろ」 事後の甘い雰囲気なんてものはなかった。俺の中から自らを引き抜いた大翔は、未だ肩で息をしている俺にこんなことを言ってきた。 自らの身支度を整えた大翔は、続いて床に寝そべったままの俺を抱え起こす。 「かなりの変態じゃねえか」 言いたい放題だな!と詰め寄ろうとしたら、口には言えない箇所に痛みが走る。 「おい、大丈夫か?」 お前のせいだろうが!お前の! そう言ったら、大翔の奴、清々しい顔で、そうだな、俺のせいだなんて言ってきた。 その顔があまりに綺麗で、俺は怒りを忘れ見入ってしまった。 「愛しているぜ、伊織」 とても機嫌が良さそうな大翔に、ま、いっかと俺は一人、愛されることの幸せを噛み締めた。 おわり top ――――――――――――――― あとがき 伊織の負けパートです。 普通BL小説だと、主人公が受けのパターンが多いので、指図こっちのパートが正規ルートなのかもしれません。 実際話としましては、こっちの方が先に出来ていたので強ち間違ってはないと思います。 攻め×攻めのリクエストに沿った題材なのか自信はありませんが、これにてリクエスト消化とさせて頂きます。(二年目のアンケートのリク) 20120420 [前へ] [戻る] |