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私立緑葉学園1
虜。〜5周年記念小話〜







二年にあがることで、一番危惧していたことはクラス替えがあることだ。
元矢君とクラスが離れてしまうかもしれない。それが僕にとって一番の懸念事項だった。

4月。実際僕らはクラスが離れてしまうことになった。だけどそんな不幸も吹き飛ばすくらい最大の幸運が僕に舞い降りてきた。

「ただいま」

「おかえり」

二年になって立候補してなった図書委員会の活動が終わって、僕は部屋に戻ってきた。出迎えてくれたのは、元矢君だ。

一年の頃、改装中だった寮の工事が終わり、僕たちは二年になって直ぐに入寮を命じられた。寮は基本二人一部屋のルームシェア方式で、僕も誰かと部屋が一緒になることになった。
入寮日当日に一階フロアに張り出された部屋割りを見て、僕はその場で思わず声をあげてしまった。
なんと、元矢君と同じ部屋だったのだ。

クラスが同じなんかよりも、ずっとうんっとこっちの方がいいに決まっている。
それは元矢君も同じだったようで。
僕らは学校の寮で同棲生活を営んでいる。

部屋に帰ってきた僕を出迎えた元矢君は、まだ玄関なのに、その場でぎゅっと僕を抱き締めてきた。
この事に最早慣れてきている僕は、驚きよりも申し訳なさを感じてしまう。
そもそもどうして元矢君がこういう行動をとるのかには、僕が始めた委員会活動に要因がある。

今年の図書委員会には、僕の他にも本好きな人が集まっていて、僕にとっては喜ばしいことに、田辺君もその一人だった。
だけど元矢君にとっては、全くそうではなかったらしい。

僕と田辺君が談笑しているのを見掛けてから、元矢君はずっと、田辺君のことを疑っている。僕たちはあれからずっと友だちとして仲良くしているだけなのに、それが元矢君には気に入らないらしい。

折角同じ部屋になって、放課後もずっと一緒にいられるというのに、田辺君がいる委員会に行って遅く帰ってくる僕が気に入らないらしい。
だけどこれについてはもう何度も話して、元矢君も納得してくれたはずなのに、やっぱり内心では治まりつかないところがあるみたいだ。

だから僕が委員会から帰ってきた後はいつもこんな感じで、“ひっつき虫”になってしまう。
ずっとこんな元矢君を見ていると、委員会活動をしているのが申し訳なくなってくる。

後期になったら委員会を辞めようかななんて思っていると、首筋に元矢君の唇が落ちてきた。

「も、元矢君?!」

元矢君のスイッチが完全に入っている。
まさかこんなところでなんて、そう思っているのは僕だけで、元矢君は更に接触を深めてくる。

首筋に落とされた口付けは、ゆっくりと上に上にと昇っていき、僕の唇にまで到達した。
歯と歯の間を舌が押し入ってきて、深いところでの接触を求められる。舌と舌を絡め合う口付けに、身体が熱くなっていく。
気付けば脚の間に元矢君の膝が入りこんでいて、そのままグイッと僕のアソコを刺激してくる。
既に固くなっている僕は、そんな刺激に声をあげざるをえない。

だけどこのときはまだ理性が残っていて、最後の理性を振り絞って元矢君に制止を求めるけど、スイッチが入ってしまった元矢君は留まることを知らない。

軽やかに僕のワイシャツの前を開放すると、元矢君は時折膝で僕のアソコを刺激しながら、胸元に口付けを落としていく。
そして暫し僕の薄い胸元を堪能した後は、胸の頂を弄ぶ。
乳輪を舐められると、直ぐに僕の胸は喜びを露わにするかのように、乳頭を天に向かって立たせる。それを極上のフルーツといったように、元矢君は甘噛みをしてくる。
何度も甘噛みを繰り返された僕のソコは、今では昔よりも格段と大きくなり、色も鮮やかな朱に変わっていた。

元矢君に与えられる刺激に、声が耐えられなくなってくると、元矢君は僕のスラックスのベルトを外し、手早く下半身を剥き出しにさせた。
外の空気に晒された僕のアソコは、既に完勃ち状態で、今にも欲望を開放したくて小さく震えている。

そんな僕の状態を知っていながら、前に刺激を与えようとはせず、元矢君は僕の後陰へと手を伸ばす。
先走りを絡ませた元矢君の指を、慣らされた僕の身体は難なく飲み込んでいく。すっぽりと一本が収まると、もう一本突き立てられ、僕は切なさのあまり腰が元矢君のモノを求めて揺れ動いてしまった。

「…んっ……あんっ…おねが……とやくん……」

だけど元矢君は気付いてない振りをして、指遊びを続けさせる。縦横無尽に蠢く元矢君の指に、耐えきれなくなった僕は元矢君にしがみついて“おねだり”をする。

「んやあっ…!……はげ、しぃよぉ……」

僕のおねだりが通じたのか、はたまた元矢君自身耐えきれなくなったのかは知れないが、漸く僕の望んだモノが与えられた。
急な挿入に、頭の中に電撃が走る。
完全に僕の中に押し入ると、次は激しく抜き刺しを繰り返される。あまりの激しさに僕はうまく呼吸ができず、ヒュッという音が喉を鳴らす。

「……あき、ら…」

耳元で囁かれた僕の名前。
スイッチが入ったときの元矢君は、絶頂が近付くと、絶対僕の名前を呟く。それ以外で口を開くことはない。

追い詰められるかのような、より一層激しい動きになると、僕らは同時に絶頂を迎えた。
元矢君は、僕の中に。
僕は元矢君自身に欲望をぶっかけた。

絶頂を迎えたことで、僕は最早自分で自分の身体を支えられなくなり、その場に尻餅を付き添うになった。
だけど直ぐに元矢君が僕の身体を支えてくれる。
どうやら、いつもの元矢君に戻ったみたいだ。

「………悪い」

僕を支えながら、元矢君はバツが悪そうな顔をして僕から眼を背ける。
そんな顔をされてしまったら、怒るに怒れない。それに、途中から僕も楽しんでいたし。

「……我慢できなかった…」

それは性欲が、それとも嫉妬がと尋ねると、元矢君は少し考えてから、小さく、両方と呟いた。
正直に喋る元矢君が何だかかわいく思えてきて、僕は自分の出した精液が元矢君の服を汚してしまったことを素直に謝った。









おわり




―――――――――――

あとがき

五周年記念小話一作目。投票で一位を獲得した『虜。』の短編です。
本編完結があまりにも昔過ぎて、羞恥心から読み返すことができなかったりします。

今回の短編では、本編終了後半年以上経過した頃の二人を書いてみました。
元矢は結構嫉妬深い方だと思います。ただ、嫉妬を抱くことが恥だとも思っているので、内心かなり我慢しています(だけど偶に爆発してしまう)
彰は彰で鈍感なので、元矢はとても苦労していそうです

またもや中途半端な終わり方です。
申し訳ない。





20120204






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