私立緑葉学園1
1
「絶対駄目に決まっているだろう!!」
嬉々として戸を開け、俺の横にある丸椅子へと真っ直ぐに飛びついてきた幼なじみの顔が悲しみに歪む。
その顔を見ると今すぐにでも承諾してしまいそうになる衝動がこみ上げてきたがそこをなんとか堪え目を反らした。
「どうして?別にいいでしょ?」
しょんぼりしている幼なじみを視界に入れぬように椅子から立ち上がりカーテンの開いたままの窓に身を寄せた。
今の状況を説明すると幼なじみのこいつ…櫻庭翔平の何気ない一言が事の発端を引き起こしたのである。忙しい入学シーズンを終え漸く学園に静けさが戻ってきたと思ったら、もう学園祭シーズンになっていて日々部門の子が夜遅くまで活動を行っていた。俺はと言うとそんな生徒たちをここ、保健室からひっそり眺めていた。丁度保健室の窓からはグラウンドが見え、看板作りに勤しんでいる生徒がよく見えた。
保健医と言う仕事柄こういった行事に何の関わりも持たないが時折慣れない釘打ちやカッターを使ったりして怪我した生徒の看病をすることで学園祭準備に関わっていた。
[次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!