短編
本気の恋の恋愛事情
「あたし、女の子がいい」
そう幼いまま陽気におれの一大決心の告白を断ったあの子。僅か五歳で人生の残酷さを知らしめられた瞬間だった。でも、十年経った今でもおれの心は未だにあの子に魅せられたままなのである。
本気の恋の恋愛事情
あの子こと、最上あすかちゃんは二重のくりっとした目がチャームポイントの凄くかわいい女の子だ！出会いはそう、十年前。おれの通っていた幼稚園にあすかちゃんは親の転勤で転入してきたんだ。
自己紹介をするあすかちゃんに一目惚れ。それから今までずっと一途に思い続けているんだけど……。
「みきちゃーん」
愛しいあの子の声だ。朝から聞けるなんて、ラッキーとか言ってられない。あすかちゃんは歩くおれを軽やかに追い越して、遙か前のみきちゃんの腕に抱き付いた！
どうしてなんだあすかちゃん。女同士だなんて不毛じゃんか！！
「今日も荒れてんなーすぐる」
この声はおれの幼稚園の頃からの心友、かざみだ。かざみはおれのこの十年越しの恋心を知る一人である。というか殆どの奴が知っている周知の事実なのだが。
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