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魔法がとけたシンデレラ〜春〜
7




翌朝。日曜でありながら、今日も斎藤は部活の練習があるらしく朝早くから出掛けていった。俺はというとまた一人部屋で何もすることなく暇を持て余していた。

あー暇だー暇だー暇だー。

志苑の所でも行こうかな。今後の作戦会議もしたいし。
善は急げって言うしな。よし、行ってみるか。

部屋に鍵を掛け、俺は二年生の棟へ向かった。

「志苑―っ!………いないのかな?」

呼び出し鈴を鳴らしても、何の反応もない。どこかに出掛けてんのかな?
ここで待っていても仕方ないと、俺は意気消沈にこの場を後にすることにした。

ロビーに出て、何だかこのまま部屋に戻るのは癪な気がして、その足で寮を出た。
どうせ部屋に戻っても何もすることないし、その辺をブラブラしよう。

届けなく学園の敷地外に出てはならないので、学内をフラフラと歩く。空は快晴で、風が心地よい。今日も斎藤は扱かれてるんだろうなー……。そうだ、グラウンドの方へ行ってみようかな。

部活中の斎藤の姿を一目見ようとグラウンドの方へ足を伸ばすことにした。

「………ん、あれ…?」

目の前のベンチに見覚えのある人が座っている。
目を凝らして見てみると、またもやその人物は寝ているようだった。

またか………。なんてことは先輩に対し思っても言えない。

すやすやと寝ているホソカワさんの隣にそっと腰を下ろしてみる。気を付けて腰掛けたせいか、起きる様子はない。
本当、この人はどこでも寝れるんだなあ……。
屋内種目のせいか、肌は白く、太陽の光を浴びて輝いているように見える。閉じられた瞼は長い睫毛を頬に落としている。スッと通った鼻筋に、形の良い唇。寝ている姿は本当、眠り姫さながらといった感じだ。

これがボールを持つと、豹変するんだから、詐欺だよなー……。

「それにしても、この人、暑くないのかな」

いくら風があると言っても、バッチリ日差しが当たっている。折角の白い肌が焼けてしまうのではないかと、筋違いな心配をしてしまう。

「……………キョウ…」

俺の視線が眠りを妨げてしまったのか。すっとホソカワさんが目を覚ました。
ホソカワさんの瞳に俺の姿が映る。

「…おはよう……」

「……おはよう御座います…」

第一声がそれか!まあ挨拶は人として一番大切だけどさ!それにしても他に言うこととかないのかな、この人は……。

「また、会ったね……」

そうですね。というか俺の行く先にいつもホソカワさんが寝てるんですけどね。

「……起きるといつもキョウがいる気がする……」

う……すみません。心地良さそうに寝ている所をいつも起こしちゃってるのは俺でしたね。

「何だか……嬉しい」

「う……っ!?」

そんな無防備な顔で、そんなこと言わないで下さい!!!





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あきゅろす。
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