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咎の蛇
08













「あなたが称されたのは『禍の子』なのですね…」

「うん」

そう言うと

瑞鬼はふらふらと二本の斬魄刀を持って立ち上がる

「ちょ…まだ立っては‥」

「もういかなきゃ 

 じゃないとおねえさんふこうになるもん」

「そんなことは…」

「あるよ 

 わたしにはそういうちからがあるんだから」

おぼつかない足取りで瑞鬼は歩きはじめる

「お待ちなさい…」

瑞鬼の両肩に触れてじっと瞳を見つめる

その肩はひどく薄く 瞳は虚ろで

少し 泣きそうになった

「行くところは…あるのですか?」

「…ないよ」

「家は?」

「そんなものない」

「お母さんとお父さんは?」

「わたしのことみえないんだって」

「瑞鬼…」

「はなして

 もういくから…」

「瑞鬼 ここにいなさい」

「だめだよ ふこうになっちゃ…」

「なりませんよ」

私はそっと瑞鬼を抱き寄せる

「大丈夫 私は白兎ではありませんから

 不幸になんてなりません」

「………」

瑞鬼は戸惑っているのか

身体を硬直させたままだ

「だから…お願い…

 ここに…いてください」

「お…ねがい…?」

「はい 私からのお願いです

 ですから…どうか…」

「…瑞鬼と…よんでくれる?」

「瑞鬼…瑞鬼瑞鬼」

私は何度も何度も瑞鬼の頭を優しく撫でた

そうすると

小さな両手で私の着物をきゅっと掴んでくれた
















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