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咎の蛇
06











我砲丸から打ち出された弾は

迷わず真っ直ぐ瑞鬼へ向う

「瑞鬼っっ!!」

俺は

ただ彼女の名を呼ぶだけしかできない

ごめん・・・ごめん・・・

ダァンッッ

「っっ」

俺の弾が命中し

辺りを白煙が包む

瑞鬼の姿は見えない

「瑞鬼っっ!!」

「・・・卍解 八岐大蛇」

「っっ?!」

白煙がだんだん晴れる

うっすらと

瑞鬼の陰が浮かぶ

あぁ・・・よかった

無事だ・・・

けれど

それともう1つ

大きな陰

弾が命中したのは

瑞鬼ではなく

その大きな存在

だんだん白煙が晴れる

「な・・・んだよ・・・」

俺を睨みつけるふたつの瞳

その瞳に見つめられると

動けない

それは

大きな 蛇

「・・・大蛇 全部片付けて」

瑞鬼の一言で

ずるりと何かがうごめく

「・・・・・・」

それは頭

俺を睨みつけるひとつの頭と

次々と虚を喰らう七つの頭

あわせると

「・・・八つ岐の 大蛇」

これがこの子の・・・卍解

「・・・ねぇ 清炎」

大蛇の側に立つ瑞鬼にいきなり声をかけられた

「あっ・・・あぁ・・・なんだ?」

俺は呪縛から解かれたようにびくりと身体を震わす

「・・・恐れちゃ だめなんだよ」

「・・・え?」

「にいさま言ってた

 力は

 恐れれば恐れるほど裏切るし

 隠せば隠すほど大きくなる」

瑞鬼はじっとこちらを見る

四つの瞳が

俺を捕えて離さない

「だから恐れちゃだめなんだ

 隠しちゃだめなんだ」

「・・・あ・・・」

せっかく大人しくなった我砲丸が

またかたかた震えだす

「っっやめろ! 我砲丸!!」

必死で押さえるが

聞かない

銃口が

また瑞鬼に向けられる

「我砲丸!!」

「・・・恐ろしいなら

 隠さずに

 立ち向かわなきゃ

 自分はそれ以上に強いと

 見せ付けなきゃ」

「我砲丸っっ!!!!」

ダダダダダダダダダダダダダ・・・

弾が打ち出される

「・・・大蛇」

俺を捕えていた大蛇の口がぐぁぽりと開き

弾を吸い込む

「はっ・・・はぁ・・・は・・・」

俺の霊圧が尽きた頃には

辺りの虚もすっかり片付いていた

しゃがみ込む俺の前に瑞鬼は立つ

「大丈夫・・・?」

「・・・瑞鬼・・・」

瑞鬼を見上げる

俺の表情を見て彼女がくすりと笑う

「そんな顔しなくても平気だよ

 私は清炎に殺されるほど弱くないから」

「あ・・・ははは・・・」

その言葉に

俺は

不覚にも

安心してしまった・・・











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