姫と執事の話
3
リーシャは食事が終わると暇になったのか、キョロキョロと辺りを見はじめた。
サンジェスは、先ほどよりも無言になって、サンドウィッチを咀嚼(そしゃく)している。
「あっ!」
「どうしましたか? 姫」
のんびりと紅茶を口にはこんでいたアリアが気付いて、声をかけた。
「アリア、向こうから花をたくさん持ってくるから、花冠(はなかんむり)を教えてくれないか」
「よろしいですよ」
「それでは行ってくるっ」
「お一人で大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。護衛もいることだしな」
二人はそこでゆっくりしていてくれ! と駆け出して行ったリーシャの後を、一緒に食事をしていた護衛二人が追う。
「それでは、なるべく茎(くき)は長めに摘んできて下さいねー!」
「わかったー!」
リーシャの背中が小さくなったところで、サンジェスは“持参していた”水でサンドウィッチを流し込んだ。
しかし、それでもまだ半分は残っている。
「あらサンジェス。アナタってそんなに食べるの遅かったかしら?」
「アリア……おまえ」
「姫が戻ってくるまでに食べ切らなければ、あることないこと言うわよ」
アリアはニッコリと笑って、サンジェスから水を取り上げた。
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