姫と執事の話
3
テラスでは、アリアが他のメイドとともにおやつの準備をしていた。
「あらサンジェス。姫は?」
「部屋で眠っていた。着替えないといけないだろうから、お前が行け」
サンジェスは半ば投げやりに告げると、ドッカとイスに座った。
「……わかったわ」
アリアが部屋に行くと、リーシャはサイドから足を投げ出したまま、シーツに“くるまって”眠っていた。
半ば強引に引っ張ると、コロンと転がって目覚めた。
「姫。起きて下さい。もうおやつのお時間なんですよ」
「ん〜……。あ、アリア。もうそんなじかんなのか……?」
ふあ、とあくびをしながら起き上がる。
その際、先ほど転がったことも手伝ってか、上の下着がストンと腰まで落ち、上半身があらわになった。
アリアはそれに苦笑をもらすと、はい、と答えた。
「すっかり汗をかいたようですし、おやつの前に着替えなくてはいけませんね」
「うむ」
「それにしても、どうしてこんな格好で眠っておられたんですか?」
「いや、暑いものだからな。服を脱いで横になっていたのだ。そしたら……」
「眠くなってしまったのですね」
「うむ。すまない。アリア」
「いーえ。ですが、これからはお気をつけくださいね。“いつ誰が来るか”分からないのですから」
「うむ。わかった」
アリアはクスリと笑ってリーシャの着替えを手伝い始めた。
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