版権作品
4
車の助手席に座って、CDをかける。
一馬の好きなものも何枚かあるのだが、今日は華澄がとくに好きなものをかけて、窓の外をボーッと眺めている。
曲は先ほどから、耳を素通り状態だ。
「……………………」
恋人としての自信がいまいちひとつでないのは、今だに“華澄さん”という呼び方を変えられないせいな気がしている。
だからこそ、
「今日こそは……」
「今日って何かあったけ?」
「うわぁっ!?」
いきなり開いた運転席側のドアに、思わず大声をあげてしまった。
振り向くと、中途半端な格好のままで驚きに固まっていた。
「あ、ゴメン! ぼーっとしてたもんだから」
「そう」
たいして気にするふうでもなく、華澄はエンジンをかけた。
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