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版権作品
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 その晩。


「したっぱなんだし、後片付けをするのはこの際我慢しよう。でも、だからって……」


 何でこんなに掃除する所があるんだー! という叫びは、取りあえず呑み込みつつ肩を落としながら暗い廊下を歩く。

 すると、クスンクスン、と押し殺した泣き声が聞こえて来た。


(お化け!? いやいや。それは絶対にない……と信じたい)


 震えつつも、その部屋を通り過ぎ様としたが、


「…………」


 “怖いのに”か、“怖いから”なのか、兎に角、その部屋を確認しようと、片目より少し広くドアを開けて、小さな明かりが一つだけ付いていた中を見た。


「ごめんねっ。……あたしが産んだせいで……いっぱい、いっぱい苦しんで……」


 そこには、写真を手に肩を震わせている女性の姿があった。

 チラリと見えた写真には、産まれたばかりの赤ちゃんが写っていた。

 それから暫(しばら)くして、風の便りに、所長に一人息子が居るという話を聞いた。

 “カウンセリング”という名の“実験”は、今日も続いている……。





《END》

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