版権作品 2 その晩。 「したっぱなんだし、後片付けをするのはこの際我慢しよう。でも、だからって……」 何でこんなに掃除する所があるんだー! という叫びは、取りあえず呑み込みつつ肩を落としながら暗い廊下を歩く。 すると、クスンクスン、と押し殺した泣き声が聞こえて来た。 (お化け!? いやいや。それは絶対にない……と信じたい) 震えつつも、その部屋を通り過ぎ様としたが、 「…………」 “怖いのに”か、“怖いから”なのか、兎に角、その部屋を確認しようと、片目より少し広くドアを開けて、小さな明かりが一つだけ付いていた中を見た。 「ごめんねっ。……あたしが産んだせいで……いっぱい、いっぱい苦しんで……」 そこには、写真を手に肩を震わせている女性の姿があった。 チラリと見えた写真には、産まれたばかりの赤ちゃんが写っていた。 それから暫(しばら)くして、風の便りに、所長に一人息子が居るという話を聞いた。 “カウンセリング”という名の“実験”は、今日も続いている……。 《END》 [*前へ] [戻る] |