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版権作品
こころちゃんのデート追跡大作戦☆
 金曜日の夕方。

 喫茶ラディッシュのカウンターで、西園寺世界(さいおんじせかい)は、カタカタと足を鳴らしていた。


「なんでデートの待ち合わせがいっつもここなのよ!?」

「いーじゃん、べつに。ここは待ち合わせには最適なのよ」

「だな。それに、それだけ売り上げも上がる」


 黒田光(くろだひかり)と甘露寺七海(かんろじななみ)は、気にすることなく仕事を続けている。


「だいたい誠(まこと)も誠よ! あんなヘラヘラしちゃってさー」


 その視線の先には、クラスメートの伊藤(いとう)誠。

 つい最近、片想い中だった少女、桂言葉(かつらことのは)と、めでたく両想いになったということだ。

 そのため、毎日のように聞かされるノロケに世界は、もうウンザリだ、と光と七海にこぼしていたが、それに別の意味が含まれているということも、二人はすでに承知済みである。

 つまり、世界は誠に想いを寄せている、ということだ。

 ついでにいうならば、普段からドジの多い世界が、誠絡みで集中力を欠いているとき、仕事の成功率はゼロパーセントとなる。


「ほんと。こころちゃんがいてくれて良かったねぇー」

「だな」


 と光と七海の二人は囁きあいながら心(こころ)に視線を移した。

 桂心。

 誠の彼女、言葉の妹で、“社会学習”のためにアルバイトに来ている、幼い少女だ。




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