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はたメーワクなメリークリスマス
十二月二十四日。
クリスマスイヴ。
それは、恋人達が愛を深め合う日。
でも、中学生であるオレ達にはそんなこと、関係ないようで……。
「くそうっ! なんでこないな日まで部活やねん!? ――こうなったら、明日景ちゃんをデートにでも誘って、どっかロマンチックなとこでも――」
とグチりつつも一人計画を立てていると、男子テニス部部室前にジャージ姿の男女が二人。
女は愛しの恋人で、男は……。
(日吉!? なんでアイツが景ちゃんとおんねん!?)
見ると、少し大きめで赤い紙袋を持った景ちゃんが、日吉にそれを押し付けていた。
日吉が返そうとすると激しく首を振り、手を合わせて必死に頼み込んでいる様に見える。
返す返さないの押し問答を何度か続けた後、諦めたように頷いた日吉に安心した様に微笑んだと思うと、直ぐに踵をかえして女子テニス部部室の方へ駆けて行った。
バンッ!
「日吉、おのれ――」
「景さんからです」
「――はっ?」
日吉の後を追うように部室に入ったオレは、掴みかかろうとしたその瞬間、目の前に、ズイと出されたモノにポカンと口を開けた。
それは、先程景ちゃんが日吉に渡していた赤い紙袋で……。
「景ちゃんからて。それってどうゆう――」
「そのまんまの意味です。――それじゃあ、俺はこれで」
オレがポカンとしている間に着替を終えた日吉は、そのまま部室を出て行った。
よくは分からないながらも、とりあえず中身を確認しようと紙袋を開けて、中に入っていたカードを読んだ瞬間、直ぐに部室を飛び出していた。
“侑士へ
Merry Christmas.
形は悪いかもだけど、手作りだから文句は言わないように。
景”
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