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性を操る微生物ウォルバキア

【動物を性転換させる恐るべきウォルバキア】

《特徴》
・本来の性とは正反対の性へと生殖可能のレベルで性転換させる。
・昆虫全体の20%、
もしかすると75%に感染している。
・ウォルバキア
(リケッチアという細菌とウィルスの中間のような微生物の仲間の仕業。
細菌より小さいものの、細菌と同じく細胞壁をもち、自前でエネルギーをつくりもする。
しかし細菌とはちがって生きた細胞の中でしか増殖できず、
この点はウイルスに似ている)

・昆虫やダニなどに広く感染していて、宿主動物の生殖に大きな影響を与えている。
そのため「性を操る微生物」といわれている。

・まず、下記のヒメトビウンカの例のように、生殖をコントロールする。
ウォルバキアに感染しているオスとメス、
感染していないオスとメスを、すべての組み合わせ(4通り)で交尾させると、
なぜか唯一感染オスと非感染メスのカップルの場合のみ、
タマゴは育たずに死んでしまう。
また、タマゴバチの例では、
ウォルバキアに感染している未受精のタマゴを調べると、
受精したときと同じ数の装色体がそろっており、
そのためメスが生まれることがわかった。

・ほかにもオカダンゴムシを調べた研究では、ウォルバキアは遺伝的にオスになるはずの個体を、
性転換させメスに変えることがわかった。
しかもそのメスは卵巣をもち生殖可能である。

・さらにテントウムシとチョウの研究では、
ウォルバキアは積極的にオスのタマゴばかりを発育不能にして殺してしまう。
ただし、オス殺しはほかの微生物によっても引き起こされている。
・これらの現象が実際にどのようなしくみでなされるのか、
残念ながらくわしいことはまだよくわかっていない。

・実は以前から、昆虫世界においてときにこのような奇妙な現象が起こることが知られていた。


《性転換された昆虫の例》

【ヒメトビウンカ】
・イネの害虫
・日本中に分布しているのだが、西日本のオスと東日本のメスを交尾させても卵は発育しない。
ところが逆に東日本のオスと西日本のメスを交尾させると、卵は正常に育つ。


【タマゴバチ】
・ほかの昆虫の卵に寄生するハチ。
・ふつうこのハチは、精子と卵子が受精した卵からはメスが生まれ、
未受精の卵からはオスが生まれる。
しかし、受精をすませメスしか生まれないはずのタマゴバチに農薬の抗生剤を与えると、どういうわけかオスが生まれる。



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