君の声。
9
昼休み、八尾はツグミを問い詰めた。
「なぁツグミ、さっきの三年生、誰だよ?」
ツグミは佐渡の事を簡潔に説明した。
「へえ、地元ラジオの人ね…。ふーん」
あんなに問い詰めたくせに、聞くとあまり興味なさげな八尾。
ツグミは佐渡本人に会えた事を嬉しそうに弁当を食べる。
また会えるかな?
…会えるよね?
次の金曜日がまた一段と楽しみになってきた。
家に帰ると早速番組宛てに手紙を書いた。
そして、金曜日。
夜8時半。
「SeeYouFRIDAY」は始まった。
『皆さんこんばんは。「SeeYouFRIDAY」佐渡奏太です。先日嬉しいことがありました。それは、こんな僕のファンだと言う人に出会いました。まぁ、地元ですからね、僕のこと知っている方もいるかもしれませんが、リスナーに直接会って言われると嬉しいですね。』
ツグミはそれが自分のことだと分かった。
嬉しくて舞い上がりそうだ。
『まず最初に手紙を読みます。H.Nヒロさんから。いつもありがとうございます。「佐渡さん、こんばんは。先日嬉しいことがありました。それは好きな人に偶然会えたことです。まだ気持ちは伝えてはいませんが、いつかその人に気持ちを伝えたいです。」』
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