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僕の初恋の初恋。
右肩下がりな恋模様(3)


「先生来てるから止(や)めなよ」
背後から降ってきた声に動揺を隠せない。
「あ゛?誰だ、てめぇ」
瞬間、首元で握り締(し)められたその手からふっと力が抜けた。
その安堵(あんど)に顔を上げると、そこに居たのは確かに彼、あの神崎くんだった。

しんとした空間の中、二人が睨(にら)み合う。
その隅で固まって何も言えないでいる自分。
こんな・・・、一体どうすればいいの?!



「─────そこで何してる・・・」
足早にこちらに駆(か)けてくる声に皆が振り返り、渡り廊下を徐(おもむ)ろにはけてく。
「ほら、他のみんなは早く帰りなさい」
こちらに向かってくるその人物に、僕は胸を撫(な)で下ろした。

あ・・・部活の先生だ。
軽く舌打ちをして、郷田くんが納得いかないといった表情でひと睨(にら)みを利(き)かせて立ち去る。
「神崎、また喧嘩かね・・・」
「あ、先生酷〜い。俺はほんと何もしてないよ・・・ね?」
「・・・ぅん」

僕たち、別に仲が良いわけでもないのに。
彼が友達に見せる、そんな優しい笑みを浮かべるもんだから。
一瞬流れた変な空気に気づくことなく、先生が一言。
二人も早く帰りなさい、と。
「そだねぇ、早く帰ろ〜」
彼もそれに乗っかってくる。
あぁ・・・ダメだ、こりゃ。

先生、空気読んで下さい。
今はほんと、彼に合わせる顔がないんだ。

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あきゅろす。
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