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僕の初恋の初恋。
右肩下がりな恋模様(1)


長い長い一週間を終える頃には、僕の体調の悪さもピークに達していた。
いつもの腹痛に加え、なんだか頭が冴(さ)えない。
授業中は集中できないし、放課は放課でみんなの視線でトイレに駆け込む始末。
なんだか思い描いてた高校生活最後の年と違う気がする・・・。




それからというもの、僕は欠席と早退を繰り返しながら、なんとか彼から距離を置いていた。
残念ながら、頭の中に住みついたあの日の彼は今も健在ではあるが・・・。
かえってそっちの彼の方が厄介(やっかい)なのかもしれない。気を緩めるとすぐに出てくるしね。

「─────あのさ、真夢(まゆ)が呼んでるんだけど」
「・・・」
板書を書き写すその手を止めて、話しかけてきた子の視線の先を辿(たど)る。
廊下側の窓から顔を覗(のぞ)かせる一人の生徒の姿に、思わず目を見開いた。

あ・・・
あのとき神崎くんと一緒にいた子だ。
どうしよう・・・。

「行かないの?」
「・・・っ」
少し気が引けたが、ノートを閉じて席を立つ。何を言われるのかと考え出したら手先が微かに震えた。



「─────初対面で申し訳ないんだけど蓮とよく一緒にいるって聞いて・・・だから、これ」
目の前に差し出されたのは、一通の封筒だった。少し拍子抜けしたせいで、思わずそれを受け取ってしまう。
「渡しておいてほしいんだけど」
最後にお礼を言われて、彼女が軽く笑顔を見せる。

知り合いなわけじゃないけど・・・
なんか。
想像してた子と違ってた・・・。

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あきゅろす。
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