僕の初恋の初恋。 出逢いたくなかった彼へ(2) 神様は不公平だ。 こうなってほしくないと願えば願うほど、そうさせてしまう、そんな力を持っている。 「な〜にこんな隅に座って食べてんの?」 そう言って、朝からテンションの高い彼が、後ろから両肩を軽く叩いてきた。 身構えてなかった僕は肩をビクつかせて、半端むせ返る始末だ。 あぁ、相変わらず元気で何よりです・・・。 「大丈夫ぅ?」 小さく頷いては、ガッツリここで昼を済ます気満々な彼の手元をチラ見する。 あぁ、今日は満点丼か・・・なんか圧がすごい。 不思議なものだ。 今まであれだけ遠くから見ていたのに、いざ目の前まで来られると急に避けたくなる。 嬉しいはずなのに、何でなんだろう。 聞きたいことだって山のようにあったはずなのに。 今は何も出てこないや。 一つ、新しい発見ができた・・・。 彼は食べるのが速い。 普段なら友達と食べているか、彼女さんと一緒かで比較的遅い方なのかと思っていた。 いつも見ているようで、 彼のこと、何も知らないんだ・・・。 ふと顔を上げると、テーブルに肘(ひじ)をついてそっと微笑み返す彼と視線がぶつかった。 「きみ・・・てるとしくんっていうんだって?俺もさっき知ったとこなんだけど・・・ ─────コレ、返しておくよ」 「・・・」 「大丈夫。ちゃ〜んと洗っておいたから」 僕の手を取り、無地の青いハンカチをその上に広げた。右端には、滲(にじ)んでもはや読めなくなっていた「アキトモ」の文字がタグに書き記(しる)されていた。 [*前へ][次へ#] |