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春を待つ君に
キミ想う花(2)


夕飯を終え、岡が後片付けを終えるまでは、テレビを見て過ごすよう言われた。
彩吹は言われた通りにソファに座って彼に謝ろうとタイミングを見計らう。



「─────吹、彩吹。寝るなら布団行きな。風邪ひくよ?」
自分が眠っていたことに、彩吹は少し驚いた様子だった。
頭の中をフル回転させて、必死に言葉を繋げ合わせようとするも、上手く伝わらない。

「わかった、わかったから。とりあえず落ち着け、な?また呼吸苦しくなんの嫌だろ?」
彼の言う“また”とは、過去に一度、通院中にも関わらず人通りの多い近くの駅のホームで過呼吸になり、そのまま意識を失っていたときのことだ。正直あまり覚えてはいないが、舞菜に会いたいがためにそうしたということだけはなんとなく覚えている。

「っ・・・め、さい。ごっ、め、なさい」
「別に俺、怒ってないから。ほら、泣くと疲れちゃうだろ?風呂沸かしてあるから入っておいで」



湯船から溢れる寸前のお湯を桶(おけ)で何度か掬(すく)って、軽く体を洗い流した。そのまま、ゆっくりと足を浸して肩まで浸かる。

温かい・・・。

呼吸ができるギリギリのところまでどっぷりと浸り、膝を抱えながら白く曇る湯気をうつろに眺めた。



「─────彩吹。長いけど、平気か?」
しばらくして、なかなか出てこないから心配になったのか、浴室の扉が遠慮がちに叩かれた。
「・・・大丈夫」
短く答えて、のろのろと浴槽から体を起こした。

岡さんはいつもこうして声を掛けてくれる。
理由はわかっている。以前、通院中にぼくが珍しく長風呂だと感じて、声を掛けてみるが返事はなく、中でぐったりとしていたことがあったからだ。
今まで散々迷惑をかけてきた。
岡さんにも、舞菜にも。
今回ばかりは大人しくしてなきゃ・・・。

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あきゅろす。
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