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兄弟のはなし
揺れる想い(2)


秋人の手がそれを追うように首筋を滑って、鎖骨に触れた。
唇から伝わる熱が後ろへと移った瞬間、零(こぼ)れ出た喘(あえ)ぎ声が、自分でもわかるぐらい震えてる。



「っ・・・んっ──────あッ・・・やぁ、だッ!」
見えなくても、そこが以前付けた跡と同じ場所だってことに気づくのに、時間は掛からなかった。
噛み付くような荒々しいキスが繰り返された直後、躊躇(ちゅうちょ)することなくTシャツを脱がしてく。



「──────てつ・・・」
逃げ出したいのに、鼓膜を揺らす秋人のその声に、身体が勝手に安堵(あんど)してしまう。
「ぁ、・・・きと」
それに応えるようにオレが声を絞り出すと、お互いの息がかかるぐらいぐっと顔を寄せてきた。
「口、開けて」
言われて初めて気づいた。自分が唇を軽く噛んで口を固く閉じてることに。

言われるがまま、オレは口元を緩めて少し口を開く。
直後、その隙間から秋人の舌が潜り込んできて、あっさりと舌を絡め取られていた。
「っ・・・ふッ、んんっ」
息苦しさから顔を背けるも、一度捕まえた唇を離すまいと何度逸らしても追いかけてくる。

そんな必死になってる様子を見下ろして、秋人が鼻で笑った。
「口でしてたら酸欠になるぞ」
「っ、それぐらい!・・・知ってる」
耳まで真っ赤に染めた顔を見られたくなくて、オレはそっぽを向いて俯(うつむ)いた。

そんなことは言われなくてもとっくに知ってる。ただ、こっちは気持ちがいっぱいいっぱいなんだって・・・。
それぐらいわかれ、バカ野郎!

「そんな拗ねるなよ」
「別に、・・・初めてじゃあるまいし・・・」

ほんの一瞬、しんとした空気に違和感を覚えて、秋人に視線を移す。
目の前のその視線に、じわりと嫌な汗が流れた。

秋人?・・・怒って──────ッ?!



「こんなときに何考えてる?」
両肩を強く掴まれて、咄嗟(とっさ)に背中に鈍い痛みが走る。
目の前までぐっと近づいてきたその顔からは、先ほどまであったはずの笑顔などなく、オレは酷く戸惑った。



「だって、オレ──────
ちょ、何して!ッ・・・やッ!」

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あきゅろす。
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