兄弟のはなし
本音と裏切り(3)
松井ちゃんから連絡があったのは、翌日の朝だった。
残念ながら、今日もいつも通り部活があるからお互い会うことができない。
そんなことを考えてたら部活でミスを連発して、カバンに入れたはずのイヤホンすら見つからない。
あ・・・教室の机ん中だ。
校門まで出たところでそれに気づき、オレは教室まで取りに戻った。
教室の前まで来たとき、聞き覚えのある声がオレの名前を挙げていた。
「──────それで今日も哲くんさぁ、私が病み上がりだからって家まで送ってってあげるとかさ。部活休んでまでとかマジ重いわ!哲くんってか'ちびてつ'がいても逆に困るし」
そこにいたのは間違いなく、あの松井ちゃんだった。
「結局秋人くんはバイトが忙しくて今は無理とか言うし」
「 えー、あれ別れたのバイトが原因だったの?」
「えー、マジないわ」
「でしょ?バイト優先する男って前代未聞よ!」
ドアの向こうで楽しそうに話す三人の声に、オレはただただ立ち尽くすことしかできなかった。
「・・・でも、弟くんよりはマシかな」
最後にクスッと笑って口元に手を添えるその横顔に、頭の中がぐらぐらと揺さ振られた。
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