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兄弟のはなし
兄弟喧嘩勃発


それはオレと松井ちゃんがカップルとなって1ヶ月が経った頃だった。

「バイト今すぐ辞めてこい」
珍しく早めにバイトを切り上げてきたかと思いきや、ノックもせずに勝手にオレの部屋に入ってきて放たれた第一声がそれだった。

は?物には言い方ってもんがあるだろ!

秋人の物言いに腹を立てたオレは、引き続きケータイを見ようと顔を伏せた。すると、それをさせまいと片手で持っていたケータイをあっさりと上から抜き取られる。

「返せよ!」
取り返そうと目一杯手を伸ばすも、自分よりリーチの長い秋人に敵うはずがない。

そんなことを考えていたらだんだんと怒りが込み上げてきて、気づくとオレはグーで秋人を殴りに掛かっていた。
圧倒的な体格差から見てわかる通り、1分も経たないうちに床に膝をついて上半身をベッドに縫い付けられていた。

「わかったから!もう放せって!」
起き上がるなり秋人に睨(にら)みを効かせて、オレは丁寧に折り畳(たた)まれた洗濯物の中から、乱暴にバイト用の制服を引っ張り出してバイト先に向かった。



それから3日後。

「あいつはやめとけ」

ようやく熱(ほとぼ)りが冷めたかと思いきや、今度は秋人から松井ちゃんとの関係に口を出される始末だ。

お前は何の権利があってオレのプライベートにまで口を出すんだよ!

固く拳を握って、軽く唇を噛み締める。
怒りを鎮(しず)めようと、大きめのため息を一つ吐き捨てた。

「お前が松井ちゃんをあいつ言うな」

捨てゼリフを残して、オレは一旦その場を離れることにした。



ヤベぇ、来週のデート代がねぇし。
って、オレ先週も同じこと言ってたっけか。


「ただいま〜」
下から聞こえてきた声に、オレは応えることなくリビングに向かった。

「あー、バイトでもしよっかなぁ〜」

いい加減水に流せと言いたいとこだけど。
それはそれ、これはこれだ。

嫌がらせで放った一言が予想外に効いたのか、冷蔵庫の中の水を飲みながらチラリと横目で盗み見ると、秋人は少し困った様子だった。

少し言い過ぎたかも・・・。
いやいや、それくらい言われて当然だろ。

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あきゅろす。
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