ぬしのきもち 〜Part 2〜 直後、視界がぐるりと反転した。 反射的についた両肘(りょうひじ)がひりひりと痛む中、彼は使い物にならなくなった下着を膝下(ひざした)までずり下ろす。 「──────んぐぅッ!」 ぐりぐりと前触れもなく侵入してきた異物に全身が震え上がった。 始めは、人差し指で円を描くように満遍なく中の襞(ひだ)を弄(いじ)るが、次第に本数が増えていく。中指も加えて、窮屈な入り口を広げられる。終(しま)いには、三本で奥へ奥へと差し抜きを繰り返しながら慣らされた。 「そろそろかなぁ?」 そう言って嬉しそうに口角を上げる彼が指を引き抜いたのが自分でもわかった。 無意識にヒクついた入り口が、物欲しそうに開閉する。 「──────ん゛ん゛う゛ッ!」 背筋を伝って一気に駆け上がってくる快感に身体が大きく仰け反った。 「っ、ふぅ・・・ふぅ」 上手く吐き切れない呼吸をタオル越しにするせいか、意識が朦朧(もうろう)とする。 「おーい、寝んな〜」 ぺしぺしと軽く頬を叩かれて、ハッと意識が戻った瞬間、目の前に突きつけられている彼のものに目を見開いた。 「歯立てんなよ」 舌と唇を使ってなんとか喉元まで咥(くわ)え込んだところで、先端から熱い液体が勢いよく流れ出る。 「ぐふっ、ぐふっ・・・っ」 顎を伝って滴(したた)る唾液(だえき)に混じって、ぽたぽたとそれが床に垂れ落ちてく。 自信家で我(が)が強い。 思ったことを何でも口にしてくれるストレートな性格。 容赦ない言葉を毎日僕に浴びせてくる。 僕はそんな彼が、嫌いなんだ。 「明日も朝練あんだからちゃんと顔出せよ」 そう言い放って体育倉庫の扉の隅に放り投げられた僕のカバンを持って帰る彼の足元が扉の隙間から見えていた。 呼吸を整え終えると、僕は両手を縛り付けていた縄をあっさりと解(ほど)き、口を塞(ふさ)ぐタオルを後頭部から引っ張り上げる。 ペッと唾(つば)を吐き捨てて、ぐっしょりと濡れた下着を足で抜き取っていく。 倉庫内に保管されたジャージを棚の中から取り出してお構い無しに着替える。 負けず嫌いで我(が)が強い。 思ったことを何でも口にしてくれるストレートな性格。 容赦ない言葉を毎日僕に浴びせてくる。 僕はそんな彼が、大好きなんだ。 速やかに体育倉庫の扉を開けて出ていくその表情には一点の曇りもなく、ニッと不気味な笑みを浮かべて八重歯を覗かせていた。 [*前へ] |