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ぬしのきもち
〜Part 1〜


屋上で門を潜(くぐ)って登校する学生らを冷ややかな視線で見下ろしながら、彼は口に咥(くわ)えたタバコを吹かした。
ふと、見覚えのある黒髪が目に留まり、ワックスで軽く遊ばせた柔らかなそれが暖かい風に吹かれてく。その隣で馴れ馴れしく寄り添うピンク頭の女に眩(まぶ)しい笑顔を向けている。



「・・・クソがぁ」



それは突然で、強引だった。
部活帰りにロッカーの中からカバンを取り出そうとした瞬間。
後ろから腕をきつく掴まれて、そのまま体育倉庫まで連れてかれた。

ガチャリと耳障りな音が鼓膜を掠(かす)めて、鍵が開けられる。

「なに──────!」
彼は気に留めることなく、口を開いた僕の腕を乱暴に引っ張って、中に放り込む。

冷たい床に転がる僕を他所(よそ)に、重い扉を閉めた後、彼は手に持っていた鍵を床に投げ捨てた。

身体を起こそうとする僕の顎を強く掴んでぐいと上向かせる。
「やけに嬉しそうだったじゃねぇか」
ニッと不気味な笑みを浮かべて八重歯を覗かせた。

「か、鍵を」
「誰も来ねぇよ」
横目で床に転がった鍵に視線を送るも、僕の言葉を聞く耳すら持とうとしない。

「暑くもねぇのになにボタン開けてんだ、あ?」
そう言いながらあっさりと胸ぐらを掴まれて床に叩きつけられる。気づくと、僕は背中に走る鋭い痛みに身をすくめていた。彼がその間手際よく手首に軽く縄跳びを通していたことに気づいたのは、しばらく経ってからのことだった。

「え・・・」
一見引っ張ったらすぐ解(ほど)けてしまいそうに思えたが、実際は先ほどよりきつく僕の手首を締め付けていた。
「その辺にしといたら?足掻(あが)いたって手首に食い込むだけだよ?」

「ん゛〜、解いてぇ!」
「う・る・さ・い」
僕の懇願に被せて一字一字を強調させながら言葉を吐き捨てた後、彼は尽かさず部活で傷んだボロ切れのようなタオルを手繰(たぐ)り寄せる。喚(わめ)き散らかすその口にタオルを押し込み、 唇の両端が裂けてしまいそうなほど強く後頭部で縛り上げてく。

為す術もなく一気にズボンを引き下げられて、僕のものを下着越しに揉(も)みしだく。

「ん゛ん゛っ!」
容赦ない彼の行動に歯を食い縛るも、次第に広がっていくシミを見て、勝ち誇った顔で僕を見下ろした。

「これスゲェの、下着がぐしょぐしょだ。・・・淫乱」
耳に唇を押し当てて、吹きかけるように囁(ささや)かれたその声に、ぞわりと肌が栗立つ。

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