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オレら停滞期。
マジないわ。


とうとうまさん家に着いてしまった。
深いため息を吐き捨てながら玄関を上がる。靴はあるからいることは確かだ。

バタバタと物音を立ててリビングから玄関に駆け寄る足音が聞こえた。
オレはワインボトルを床に置き、上がる気にもなれずに黙り込む。

「さと?池谷んとこ行ってたんだってな?
大丈夫なの──────」
「お前がいっちゃん言うな!」

初めて声を荒げたオレとその言葉にひるむまさで部屋の中は一気にピリついた。
「・・・あー、とりあえず落ち着け」
「もう・・・いい。もう、こんなボロアパートで、裸族のお前なんかのために、ブラックバイトして、挙句ピコンピコン不眠になって・・・っ」
乱れる呼吸の中、言葉を続けることで必死なオレはTシャツの胸元を掴んで俯いた。

再び歩み寄ってくるまさの足が視界に映るのが見えて、オレは慌てて手提げの中身を投げつけた。
痛いとも言わず、ただただ片腕で顔を防御し続けるその様子に、今日バカみたいに買ったコンドームとローションを手提げの中から乱暴に取り出し投げつけた。

手提げの奥まで手を突っ込むと、大切に仕舞い込んでおいたラッピングに包まれた小箱が指先に触れる。少し躊躇(ちゅうちょ)したものの、それもまさの顔目掛けて投げつけた。



当然のことながら、オレはその場を立ち去った。
どっかのベンチに腰掛けて、一人でこんな真っ暗で肌寒いとこでクリスマスを迎えたくなくて、ケータイで今すぐ集まれる人を募集する。すぐに三人グループの大学生が集まり、オレは集合場所まで向かった。



途中で目印になる場所まで一人に車で迎えに来てもらい、オレは残りの二人とも合流することができた。
まだ未成年だから場所の指定はしなかったが、意外にも皆が口を揃えてバー店に行くと言ってくれた。

水割りもしないで一杯、二杯と飲み干すオレを見て笑みを零(こぼ)す三人。意外にも話が弾んで、五杯目を頼んでから席を外してトイレに向かった。
席に戻ると、話題は恋愛に移っていた。
うわ、最悪。

オレは長くなりそうなその会話に一切混ざることなく、ちょびちょびとグラスを口に運んだ。
〜〜〜〜〜〜〜
ぐるぐると回る視界に目眩(めまい)がする中、椅子から落ちそうになる感覚に驚き、自分の体を逆方向に傾ける。
〜〜〜〜〜〜〜



〜〜〜〜〜〜〜
「んぇーぅ?」
薄目を開いて口から漏れるうわ言が自分にも聞こえないほど辺りの物音がうるさい。両肩を支えられていても、足が上手く地面に着いてくれない。
なんか・・・わかんない。
〜〜〜〜〜〜〜

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