僕を取り巻く全てには
青いバラの青年(3)
少年の左手首に繋がったチェーンを引っ張りながら、ずんずんと進んでいく管理人。
しばらくすると、地下から地上に上がる長い階段を上り、大きな引き戸の前で足を止める。
振り返る管理人に鋭い視線で見下ろされ、少年はビクと肩を震わせた。
あ、と思ったときにはチェーンを引っ張り上げられ、引き戸の向こうへと押し込まれた。
中にはスラリとした背の高い男性がタバコを吹かしながら書類に目を通している。
「──────きみ・・・名前は?」
少年に視線を向けることなく、男性は問いかけてきたが、応答がないことから彼は手を止める。
「・・・何?もしかして口が聞けないの?」
「・・・っ」
喉元まで出かかった言葉は、正面にある扉が開く音でかき消された。
奥の部屋からは自分と同じような小柄な少年を抱えた大男が出てきた。抱えられた少年は何も着ておらず、無数の傷を負った身体を小刻みに震わせながら嗚咽(おえつ)を繰り返す。
その様子を見て怯(おび)える少年は、逃げる間もなく背の高い男性にチェーンを引っ張られて奥の部屋へと連れていかれた。
その部屋の中心に置かれた二段仕様のステンレス作業台には、上段にいくつかのベルト、下段に細い管と透明な液体の入った小瓶(こびん)が置かれている。
戻ってきた大男に後ろから両肩を掴まれて、くるりと作業台に背を向けさせられた。身をよじるも、あっさりと台に仰向けにさせられた少年はベルトで両手両足と腹部を固定されていく。
何度も首を横に振っていやだいやだをするも、男は気に留めることなく準備を進めていた。
まず始めに、はさみで少年の服を全て切り落とす。ひやりとした刃が素肌に触れる度に彼の身体が小さく跳ねた。
横目で覗き見をしようと試みるも、カタカタと響く音だけが聞こえてくる。
次に、男は固く閉じた少年の両膝を割って躊躇(ちゅうちょ)することなく狭い入り口を広げていく。
くいと中に差し込まれた管をゆっくりと呑み込む彼の口からは繰り返しうめき声が零れ出た。
奥まで入ったことを確認したところで、今度は管のもう片方の先端に小瓶の中身を移した注射器を繋いだ。
ゆっくりと管を伝(つた)っていく透明な液体が少年の中に入ってきた瞬間、少年の身体は大きく仰け反った。
甲高い声を上げてのたうちまわる彼の手首には既に色濃く跡が残されていた。
液体を全て入れ終わったところで、注射器を抜き取り、管の先端にふたをした。
その直後、少年は急に襲ってきた便意に荒い呼吸を繰り返しながら悶(もだ)えた。
ようやくふたが外されると、少年は大粒の汗を吹き出しながらそれまで耐えていたことで意識を手放す。
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