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3 人助け
しょうがないので、一回家に帰って町に出た。この町はすごく綺麗だ。
バッグからカメラを取りだし、町のいろいろな所を撮る。

「おっ!猫だ!」

これもとっておこう。
「あの子達、喜ぶだろうなぁ…」

私はこの二年で本当に変わったと思う。
8歳の頃の自分は、何も出来なかった。というか、何かすることは不可能だった。

…孤児院にいたから。

孤児院では何も出来なかった。栄養のある物すら食べられなかったから皆痩せていた。

まあ、実験台だったから仕方ないな……

この前、おばさんに見せてもらった記事。

"実験台…マフィア……物騒よねぇ"

いろいろなことが書いてあった。
ふと、飛び込んできた写真。



孤児院だった。

と、言っても鉄格子が窓にはめられていた。私が飛び出したからだろう。
"エストラーネファミリーの子供たち"

それからいろいろ混乱したけど、結局はおばさんが説明してくれた。

だから、13歳になったらもう一回あの孤児院に行くんだ。それで皆を逃がす。

それが私の夢だから…

「それにしても、綺麗だなぁ」
「あの…退いてくれるかい?」

驚いて振り向くと、頭の良さそうな男の子が立っていた。綺麗な瞳だった。

「あっ…すみません」
「…なにをじろじろ見てるんだい?」

あっ

記憶が2年、遡る。

「マーモンさん?ですか」

私がそう言うと、男の子は驚いて言った。
「誰だい、それ」
「あっ…ごめんなさい…人間違えです」

急に恥ずかしくなって家に向かって走った。
マーモンさんなわけないのに…
マーモンさんは、あんな小さくなかったから


また、会えるはずもないのに…



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あきゅろす。
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