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Weapon Legenders
決起U
アルセルツはしばらく、その刀を見つめていた。
「…さぁ、抜きな。別に殺せと言っている訳じゃない。お前の強さを見せてみろ」
「……あぁ」
アルセルツも剣を抜いた。黒く磨き上げられた刀身がその切っ先で光を放ちながら。
「変わった剣を持ってるんだな」
「その紅い刀ほどでもないかな」
彼らは剣を構えながら、そんな言葉を交わす。
一歩、二歩、三歩…やがてお互いが十歩進み向かい合った時には、闘技場で闘う戦士と同じような雰囲気が醸し出ていた。
アルセルツは黒い剣を、紅は紅い刀を、それぞれの流派で構えた。
「…一つだけ、聞いてもいいか?」
「あぁ」
「名前を教えてくれ」
その時になって、彼はお互いの名を教え合っていないのを思い出す。
「アルセルツ・ソーヴィング。それが俺の名前だ」
「アルセルツ、か。響きいいな」
「どうも」
短く返事して、くすっと笑った。そして表情を引き締めた。
「じゃあ…行くぜ」
じゃりっと地面を擦らせ、そして―――。
「はあああぁぁっ!!」
「ぉあああぁぁっ!!」
駆け出した。アルセルツはまず大きく横切りをする。しかし、紅は彼と同じような横切りで受け止めた。びりびりと振動が腕に伝わってくる。間合いをとって、今度は剣を振り上げるように突きを放った。それに対して紅は刀を振り下ろし、ねじ伏せた。すかさず切り替えし、左下から右上へとアルセルツの剣目掛けて斬り上げた。
「―――っ!」
間一髪でアルセルツは後方へ跳ぶ。もしも判断が遅れていたなら、相当な傷を背負う事になっていたかも知れない。
紅は前進し、間合いを詰める。それから鮮やかに、刀を走らせた。
アルセルツは瞬間に見極め、自ら剣で刀を受け止めた。
紅が微かに囁いた。
「へぇ……結構やるじゃねぇか」

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