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SoulCalibur's Novel
断罪の剣
月がやけに紅い夜だった。月光の下は似合わない程に、死体が転がっている。その中でただ1人、月光の中に立つ人影があった。蒼い鎧、その隙間から覗く深紅の瞳、異形の一つ目の大剣。
その姿は悪夢を具現化したようなものだった。
ナイトメア―――その名を如く。
―――パキッと何かが折れた音がした。少し離れた場所で、戦士の1人が枯れ枝を踏みつけ、自らの存在を明かしてしまったのだ。それに気付き、ナイトメアは戦士のほうへと向いた。
「ひっ…―――」
戦士が喉の奥で悲鳴を引きつらせた。紅い瞳でこちらを睨んでくるそれは、確実に殺気をむき出しにしていた。剣を構える。しかし、戦士は剣を抜く事すら出来なかった。
彼の首が噴水の如く血を噴射させ、そのまま地に転がったからだ。
そして、ナイトメアは骸と化した彼の身体に剣を突き立てた。目を閉じる。そうすることで、一つ目の大剣―ソウルエッジに魂を喰わせる事ができるのだ。
―――かっと開いたその瞳は、なおも深い深紅の闇が映っていた。


「―――…っ……」
右手の痛みがジークを現実の世界へと呼び戻した。かつて、ソウルエッジを我が物として暴れてきた日々を思い出す。いくらその手からソウルエッジを手放しても…犯してきた罪の意識だけは、断ち切れぬという事を強く悟った。断罪のために何かをしようとも、それだけではきっと、終わらないだろうと彼は思った。未だ残る右手の痛みを抑えながら。
ふと、窓の外を見やった。外は明るく、少し太陽が昇っていた。
軽く背伸びをして、眠気を飛ばす。
そこでかれは自分を泊めてくれた宿屋の主に礼を言っていない事を思い出す。
鎧は身につけずに、そのまま階下へと降りていった。
しばらく探しても見つからず、まだ眠っているのかと思い、外へ出た。陽の光に礼を眩しさをこらえながらも、辺りを見回す。と、宿屋の主はすぐに発見できた。宿屋の主はこちらに気付くと、にこっと微笑んだ。少し痩せ細った、その顔で、
「昨日はよく眠れましたかな?」
「おかげで気分も良くなった。…礼を言う」
「いえ、それが私どもの役目ですから、礼には及びませんよ。もう、出発なされるのですか?」
「あぁ、準備はまだ整っていないが…」
「では、私は朝食の準備をしておきましょう。ちょうど花の手入れも終わったところなので…どうです?食べていきませんか?」
土にまみれた手を水で洗いながら、宿屋の主は言った。
「すまない。今日は先へ進みたいところがあるから…急がなければならない」
「そうですか…。ならば、歩きながらでも簡単に食べられるものを用意しておきますかな?」
「できれば、そうして欲しいのだが…」
「では、そうしておきます。早速、準備にとりかかりましょう」
軽く一礼すると、部屋の中へ入っていった。続いてジークも、旅立つ準備のために中へと入っていった。

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あきゅろす。
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