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SoulCalibur's Novel
断罪の剣Z
邪剣の一撃からキリクを守ったのは、シャンファだった。二人の間に入り込み、剣を盾のようにして、重い一撃を防いでいた。
「くっ…う……」
攻撃を受け止めるだけで精一杯なのだろうか、彼女は何も言えなかった。
しかし、
「きゃあっ!!」
短い悲鳴を上げて、彼女は飛ばされた。身が細い彼女は剣を握りしめながらも、地に強く叩きつけられ、転がっていく。それでも、彼女は強く打ちつけられた箇所を左手で押さえながら、立ち上がった。
「シャン―――」
「大丈夫」
キリクの言葉を遮って、シャンファは言った。
「私は、大丈夫。貴方にその滅法棍があるように、私にもこの剣があるわ」
キリクはしばらく彼女を見つめていたが、彼女の意を感じ取ったのだろう。静かに、
「…そうか。そう…だな」
とだけ、言った。
ナイトメアに向き直ると、二人は同時に武器を構えた。それを見ていたナイトメアは舌打ちする。
「どいつもこいつも―――」
剣を地面に叩きつける。刃の切っ先が地面をわずかに割った。
「虫酸が走るっ!」
そして駆け出した。相変わらずの邪気を身にまとって。


―――あれから、どのくらい時間が経っただろう。激闘に激闘を重ね、三人は限界に近づいていた。息を荒げながら、それでも闘い続ける。傷も以前よりもさらに深く刻まれるようになった。
「ぅぐうぅっ…!」
振り下ろされる剣を受け止める。弾き返すだけでも、キリクには辛く感じていた。それでも彼は力を振り絞って、剣を弾き返す。そして、腹部めがけて横に棍を振った。しかしナイトメアは邪剣で剣を押さえる。キリクは棍を一旦引き、棍を真正面から突きを繰り出した。身体をひねって回避されたが。そして、ナイトメアは横薙ぎの攻撃をする。彼は棍を立てて、それを防いだ。だが、全部は防ぎ切れず、ふらりとキリクの身体がよろめいた。
次の瞬間。
キリクの左肩から右腹部までを刃が斬り裂く。鮮血が辺りに大量に散る。
長い悲鳴が響いた。そのまま地面に倒れ伏す。
「キ…リ……」
何があったのか、分からず―――シャンファは立ちつくしていた。キリクの周りで、血だまりが広がっていく。全てを理解した頃には、彼女は絶叫していた。
「いやあああぁぁっ!!」
咄嗟にキリクの元へ駆けつける。キリクは、ただ血を流し続けている。横たわっている以外何もしなかった。口からも血は流れ、赤黒く変色していた。
「あ……あ………」
ただ死にゆく様を見ているしかなかったシャンファは、後方から感じる気配に肩を震わせた。ゆっくりと振り返り、見上げる。
悲鳴が喉の奥で引きつった。
見上げればそこに―――ナイトメアが立っていた。双眼を紅く光らせて、こちらを見下ろしている。彼はただ静かに剣を地に突き立てた。
そして、彼は異形の右腕を伸ばす。伸ばした先は、シャンファの首だった。…ただ逃げ出すことさえ出来ず、彼女はそのまま、首を圧迫された。両腕を使って、締め付ける腕から逃れようと抗った。身体が浮き上がる。もう限界だった。
シャンファの心境を知ってか、ナイトメアは呟いた。
「…足掻いても無駄だ」

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