小説 短編
苦悩 閻魔
ぼたり。
筆から滴り落ちる黒い墨。
「……。」
ぼたぼたぼたぼたり。
続けて墨を垂らす
筆を滑らせ真っ黒に塗り潰した
塗り潰した先を見ると、
赤いハンコで地獄逝きと押されていた
だけど
黒い墨で塗り潰した彼、写真は見れなかった。
\
「貴方の逝き先は、」
「地獄」
そう告げた、
音も無い表情で
「いやッ…嫌だ!逝きたくない!離してくれッ…」
彼は奴隷の如く首に縄をかけられ連れていかれた。
錯乱した、
言葉を響かせ、て
「次の人、どうぞ」
また、まだ、また、まだ、
先は有る。
\
ぼたり
筆から滴り落ちる黒い墨
「……。」
ぼたぼたぼたぼたぼたぼたぼたぼたぼたぼたり…。
閻魔は黒く塗り潰した。
死後判定が終わったもの達を。
天国に逝けない悲しき魂を。
黒く塗り潰した
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