バカ達の奇妙な冒険
襲撃
「こら! アキ君! 話を聞いてよ!」
あの後、茶を飲みたいアキ君の提案に従いみんなで喫茶店に来たわけだけど、そっぽを向いて話を聞こうともしないアキ君には困り者だよ。
「だって、邪悪なる吸血鬼だっけ? まあ、モミジには波紋(はもん)だっけ? あれが使えるいじょう吸血鬼の存在は否応なしに信じざるを得ないけどさ、それが僕達にどんな関係があるの?」
ボクの言葉にアキ君が反論する。
波紋というのは特殊な呼吸法により太陽光に近い性質を持つ生命エネルギーを生み出し操作する技術である。太陽光に近い性質故に吸血鬼を倒すために作られたような技術がこの世に存在するため吸血鬼の存在は信じざるを得ないのだろう。
「アキ君。ホリィさん。ボクの右手を見て。」
「…? ………っ!!」
「モミジ君! そ、それ!」
アキ君もホリィさんもボクの右手に絡み付く紫色の茨を見て驚いていた。
あっけにとられる2人の前にボクはインスタントカメラを置いた。
「見ての通りボクもアキ君同様にスタンドに目覚めている。その能力は、これだ!」
そう言いながら、茨の絡みついた右手でインスタントカメラを叩き壊した。それと一緒に写真が1枚滑るように出る。
「ボクのスタンド、隠者の紫(ハーミット・パープル)は遠くのものを念写する。その度にいちいちインスタントカメラを叩き壊さなきゃならないのが不便だけどね。
で、アキ君。ホリィさん。2人は自分の首の後ろを気にしたことはないか?」
何を言いたいのかわからないのかじっとボクを見ている。
「ボクの左肩には星形の痣がある。ボクの異母兄妹達や、父さんにも同じ痣があることからすると、父方の血筋であるジョースターの一族には星形の痣が遺伝的に伝わるみたいだね。」
事実、お祖父ちゃんのジョセフ・ジョースターにも同じ痣があるのを見たことがあるし。
「それで、その写真には何があるの?」
問いながら写真を覗き込むと、こちらに星形の痣をみせている人物だった。この人こそが邪悪なる吸血鬼DIO(ディオ)だ。
「こいつの首から下は、ボク達のご先祖、ジョナサン・ジョースターの首から下を切り取って奪ったものらしい。」
かつて、まだ人間だったDIOはジョナサン・ジョースターの父を毒殺し、ジョースター家を乗っ取ろうと画策したがあとちょっとのところでバレて吸血鬼に自らなりその場にいた皆を殺害しようとしたがジョナサン・ジョースターにより失敗。そして、ある人物に波紋を教えてもらい、DIOを倒すために闘った。その結果、DIOはジョナサン・ジョースターの波紋により、首から下を失い、ジョナサン・ジョースターはDIOに殺害され、2人は沈み行く船と共に姿を消した。
「そして、4年前にマリー・セレスト号のごとく誰も乗ってない船を発見した。その船には古い棺桶があったらしい。
この中にDIOは眠っていたんだろうね。ほっとけば、何人もの人間が犠牲になるかわからない。力を貸してくれないか。」
「…そうはさせん。」
その言葉に殺気を感じて横に避けた。それまでボクがいた空間を刃物が貫いて、テーブルに刺さっていた。
「な、なんじゃ!」
客らしき女の子っぽい見た目の男が慌てふためく中、
「…DIO様の邪魔はさせん。貴様らはここで死ね。」
店長らしき人物が虚ろな表情で刃物を片手に襲い掛かってくる。
「この!」
アキ君はスタンドを出し、店長の口に手を突っ込んだ。そして、そこから全身緑色のスタンドを引き抜いた。
「スタンドにとり憑かれていたのか?」
思わずそう呟いていた時、緑色のスタンドの両手からどろどろした液体が流れていることに気づいた。
「不味い! そのスタンドを捨てて防御して!」
ボクの指示にアキ君のスタンドが敵のスタンドを放り捨てた時、緑色の液体が破壊の結晶となり、アキ君のスタンドを襲った。
「グゥ!!」
スタンドが受けたダメージは本体も負う。アキ君のスタンドがダメージを受けたせいでアキ君も額から血が垂れている。
そのスキに敵のスタンドは再び店長さんの口の中に忍び込もうとして、ハーミット・パープルが捕まえて引き抜いていた。
敵のスタンドは引き剥がそうともがくがその前にアキ君のスタンドが捕まえていた。そして、オラオラ言いながらタコ殴りして倒した。それと同時にさっきまで慌てふためいていた女の子っぽい男の子も血を流して倒れた。
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