闇の運命に弓引く者
闇の少女達
SIDE 桜
何よ? 本当の敵が闇(ガイア)でもなく、光(ヴァルハラ)でもなく、運命って?
運命が敵? そんなことあるわけないわ。運命は絶対的に間違えることのない道標のようなもの。それか敵の訳がないわ。
私は風宮君の言葉を胸の内で否定する。それが信頼ではなく盲信であることに気づこうとすらしないで。
SIDE せりあ
「あ、あの、仁、モミジ。」
あたしの呼び掛けに二人はこちらを見る。今まで色々ちょっかいかけてたことどうやって謝ろうと思っていたら溜め息はいた仁がとんでもないことを言ってきた。
「いいから行ってこい。トイレ。待っててやるから。」
「ひとちゃん。そういう言い方ないんじゃない? デリカシーぐらい考えてあげようよ。トイレじゃなくてお花を摘むって言うんじゃなかったかな?」
「ち、違うわよ!?」
顔を真っ赤に染めて二人に叫んでから、深呼吸してから謝罪する。
「色々ちょっかいかけてごめんなさい! …怒っているよね?」
『…そりゃあねえ。』
ヒィ! や、やっぱり怒っている!!
「毎晩同じ夢を見させられて鬱陶しいわ。寝不足で授業中に居眠りして廊下に立たされるわ。何百年前の罰なんだか。」
「いくらなんでもそんなことをされたら怒るぞ。」
「…その事なの? ちょっかいのせいで寝不足になったことを怒っているわけ? 『騙したのか!!』みたいな怒りがないわけ?」
「そうされたいの?」
「まさか。」
「じゃ、いーじゃん。実害なかったわけだし。
…ま、でもお詫びはしてもらうけどな。」
その言葉にクスリと笑みを浮かべた。
「わかったわ。面白い本持ってるし貸したげる。」
仁とモミジはその言葉にジト目であたしを見る。
「それって前世だのなんだのが書かれていたりするの?」
ば、バレてる。その問いに思わず硬直してしまう。その様子を肯定と捉えたのか、仁とモミジが笑みを浮かべる。
「そういう了見か。こちらにも考えがあるぜ。」
「毎日ハンバーガーを奢ってくれるってのはどうかな?」
「んげっ! それマジ? シャレになんないんですけど!」
「なに、『地球のためにせっせと人殺ししましょう』って集団がそんなこと気にしているの?」
「じゃ、まずは今日からだな。」
あたしの反論をばっさり切り捨て悪魔の手があたしを金欠病という地獄に引っ張っていった。
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