[携帯モード] [URL送信]

闇の運命に弓引く者
闇と光の話し合い



 ここだよな? 散々調べた螺郷興信所の住所と目の前の建物を確認する。本来ボク達は同族がどこにいるかわかるようにマーキングされてる。そのマーキングを消してまで同族に内緒で来たのは少なくとも今は同族には知られる訳にはいかないからだ。定められた運命(さだめ)を踏み潰すその為に。

「すみません。螺郷興信所はここであってます………。」
「ようこそ♪ 螺郷興信所へ♪ ささ。お座り下さい♪」
「…苦労してるんだね?」

 ドアを開けた瞬間、さわやかなまでに商業的な笑顔を浮かべる螺郷光(らごうひかり)さん。ボク達闇(ガイア)の敵、光(ヴァルハラ)のリーダーである。

「さて、どのような御用で?」
「…その前にまずは空間凍結はしないでもらえますか? もししたら、覗きされる恐れがありますから。」

 空間凍結とは空間を凍り付かせありとあらゆる現象が停止した空間を作り出す術であり、術者、術者が望んだ存在、同系統の能力者、今現在のみが活動でき、それ以外は動く事も出来ず認識すら出来ない。多分見張られてる可能性は低いと思う。原作では闇(ガイア)がマスターと呼ぶ少年は螺郷さんが光(ヴァルハラ)のマーキングを隠す訓練をしていた事も、光(ヴァルハラ)のマーキングを消して様子を窺い、不意打ちしようとしていた事も知らなかったからね。でも、空間凍結されれば話は別だと思う。

「想像ついてるかもしれませんが、ボクは闇(ガイア)側で名前は風宮紅葉です。」
「…まさか、闇(ガイア)が私達の所に来るとは思わなかった。それで、どのような依頼を?」
「ボク達がマスターと呼ぶ金髪の少年を倒してほしい。」

 ボクの依頼に螺郷さんも秘書の綾部閑華(あやべしずか)さんも目を見開いて硬直していた。

「まさか、裏切り?」
「そう取れますね。ただし、この裏切りは闇(ガイア)と光(ヴァルハラ)の為です。」

 そう答えてから、語り出した。

「昔、ある所に誰でもが有しているが使い方を誰もが理解してない不思議な力に覚醒した人物がいた。その力は空間を凍らせたり、空間からエネルギーを抽出したりするものだった。その人は力を研究するうち多くの人間が欲するであろう永久(とわ)の命の研究して実現した。ただし、その命を得るための時間を費やしその人は老いてしまった。その姿で永遠に生きる事を嫌がったからこそ記憶や人格、早い話魂を知りうる中で最も強い力を内包した少年に転移させた。
転移先の少年の魂も消去されなかったのは誤算だったようだが折り合いをつけ様々な事をやったらしい。
そして、今その人がやってるのは闇(ガイア)と光(ヴァルハラ)を使った殺人遊戯(マーダーゲーム)。
少年は適当に選んだ人物に闇(ガイア)なら『このままなら地球がダメになるから原因の人間を間引いて管理できるまで減らしていく』、光(ヴァルハラ)なら『闇(ガイア)を滅ぼす事で悪しき人間の浄化』の使命と偽りの記憶を与え、何かの弾みで力に覚醒するようにして同族がどこにいるかわかるようにマーキングを施して少年は闇(ガイア)の盟主(マスター)に君臨したが実質何もしないというスタンスに収まったんだ。」

 長い、長い話を語り終え2人を見ると驚愕の話に身震いしていた。

「そ、その話が本当なら我々は、」
「ええ。闇(ガイア)も光(ヴァルハラ)も偽りの運命という糸に操られた操り人形(マリオネット)です。」

 ボクが完全に動く事を放棄して流れに身を任せればハッピーエンドは来る。でも、それは最善じゃない。マスターを倒すために何人もの犠牲を払ったし、この力で人を殺した少女が発狂して、第2のマスターになるんだ。その少女は刺客は放ち、邪魔なひとちゃん達を殺害しようとしたんだ。何人もの犠牲を払い、少女は死にようやっとハッピーエンドに辿り着けた。
出来れば、その犠牲をなんとかしたい。その考えが伝わったのか、
「君を信じ切ることは出来ないがとりあえずは信じよう。」

 螺郷さんの言葉にボク達は堅く握手をかわした。

[*前へ][次へ#]

2/6ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!