闇の運命に弓引く者
闇の運命を背負うもの
そこに闇と光があった。闇は光を飲み込み、やがて光が闇を引き裂いて闇は虚無へと還っていく。最近毎晩見ている夢だ。
ー覚えているか? お前の過去を?ー
光も闇も消滅した後でボクに声をかける影があった。
ー覚えているか? 光と争った日々を? 貴様を滅ぼした者共を滅ぼしたいとは思わないか? 貴様が力を取り戻せばそれも容易い。ー
影が熱く語る。それがボク、風宮紅葉の我慢の限界だった。
「やかましい!」
影にアッパーカットをして、倒れふす影に向かって怒鳴り散らした。
「君が毎晩妙な夢を見せてくれるせいで寝不足なんだよ!! どうしてくれるの!!」
普段はめったにしないんだけど、今回ばかりは話が別。毎晩毎晩同じ夢を見せられるせいで寝不足で授業中に爆睡させられ廊下で寝るなんて事もしてしまったし。
ーで、では、声を抑えるということで。ー
「そういう問題じゃないだよ!」
そう叫びながら飛び起きた。
「ふぁ。おはよー。ひとちゃんにせりあちゃん。」
「おはよう。モミジ。」
「おう。」
バス停でバスを待っていたら幼なじみの国間仁(くにまひとし)君と岐堂せりあ(きどうせりあ)ちゃんに気づき声をかけていた。
「眠そうね。」
せりあちゃんはボクの顔を覗き込みながら呟いていた。
「まーね。毎晩毎晩同じ夢ばかり見てるせいで寝た気がしなくてね。」
同じ夢を見させられてる原因はせりあちゃんにあるのだがそれを言うわけにはいかず、知らん振りをしているしかない。せりあちゃん。犯人だと自白せざるをえなくなったら、睡眠不足のかりを万倍にして返してあげよう。心の内でそう誓った。
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!