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鬼灯の冷徹 補佐官のサポーター
地獄の掃除

 陽気な歌声が聞こえたから、視線をそちらに向けたら、白い髪の毛のゆるふわボーイの茄子(なすび)君が歌っていた。それは良いけど、ボクと同じ三途の川の掃除役なんだけど、お世辞にもしっかり掃除しているようには見えない。相方の唐瓜(からうり)君の方がしっかり掃除している。ため息一つつくと側にいるかったるそうに箒を動かしているだけの獄卒の頭を握ると全力投球で茄子君に叩きつけた。

「茄子君。歌うのは良いけど、しっかり掃除しようね?」
「…はい。すみません。」
「見ろ。茄子。怒られ…アタ!」

 茄子君に注意しようとする唐瓜君の頭に箒を軽く落とした。

「唐瓜君も口を動かす暇があったら手を動かす。」
「はい。すみません。」

 ボクの言葉に唐瓜君は掃除を再開させる。

「所で云鬼さん? さっきの歌って何でしょうね? 趣旨がまったくわかりませんし何でパンツを穿こうになるんでしょうね。」
「知らないの? 鬼のパンツ販促委員会のCMソングだよ。」
「そんな委員会はない。というより、その歌の正しくは、フニクリフニクラ。
それが日本に来た時、子供向けの替え歌になったんだよ。
…さて、ここら辺はもう大丈夫だと思う。閻魔庁に戻ろう。」




 鬼灯様を連れて閻魔庁に戻った時、ちょうど、裁きが終わった所らしく亡者が獄卒から逃げているところだった。

「大王。三途の川の掃除が終わりました。」
「鬼灯君。ご苦労様。云鬼君も唐瓜君も茄子君もお疲れ様。」
「ところで、あの亡者はどんな事をやらかしたんですか?」
「下着泥の常習犯であまつさえそれを誇らしげに掲げて捕まった変態だよ。」
「その性癖はともかく、罪そのものは窃盗ですね。」

 そんな物を盗むなら中身に興味を持ちなさい。ため息を1つ吐くと、閻魔大王様の頭を鷲掴みして柱にしがみついて離れようとしない亡者に投げつけた。

ゴン! ガン!

 裁きの間に響く2つの音。

「あれ?」

 疑問に思い、亡者を見ると亡者の顔に閻魔大王様が、閻魔大王様の顔に金棒がめり込んでいる。そして、横には投球フォームの鬼灯様が。どうやら、ボクが投げた後、鬼灯様が金棒を投げつけたらしい。

「…それにしても、今日はパンツの話題が出てくる日ですね?」

 鬼灯様がそう言った瞬間、茄子君がまた歌い出した。

「それ、鬼のパンツ販促委員会のCMソング?」
「ところでさ、鬼のパンツって良いよな。」
「どこがだよ? ダセエじゃん。」

 閻魔大王様に説明している間も話は進む。

「だってさ、男がパンツ一丁なら、女は虎柄ビキニになる。」

 虎柄ビキニって、

『アウト!』

 ボクと鬼灯様が同時に叫んだ。

「彼女は鬼じゃなくて異星人だよ?」
「それにそういう格好はすぐに見飽きてしまうものです。」
「だよな。俺そんな格好した脱衣婆を見たらげんなりしちゃうもん。」

 そんな格好した脱衣婆? …うぷ。吐きそう。

「そもそもさ、あれってパンツなのかな?」
「うぷ。どちらかというと腹巻きだよね?」
 想像した時のダメージを我慢しながらそう言った。

「じゃあ、パレオ?」

 そんな話をしていた時、

「あの、鬼灯様?」

 淡い水色の髪した、帯変わりに2匹の蛇を腰に巻いてる女性獄卒が裁きの間に入室した。

「こんにちは。…どったのお香さん?」
「云鬼君。こんにちは。武器庫の記載が実際とは違うのよ。」
「…変ですね? 記録係のミスでしょうか?」

 ボク、お香さん、鬼灯様の話を聞いていた唐瓜君が何かに気づいたように茄子君の手を取りお香さんに近寄った。

「すみません! コイツのせいなんです! 直させますんで、お許しください!」

 唐瓜君の謝罪に茄子君も自分がミスしたと思ったのか一緒に謝る。その様を見たお香さんは優しく微笑むと、巻物を渡し、

「大変だけど頑張ってね。」

と励ましの言葉を残し、その場を去った。

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あきゅろす。
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