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鬼灯の冷徹 補佐官のサポーター
地獄大混乱

「閻魔様! 三途の川が氾濫しそうです!」
「閻魔様! 等活地獄が財政破綻しそうです!」
「閻魔様! 桃源郷から人材貸し出しの要請が来てます!」

「ハイハイ! 皆さん、いっぺんに言っても木偶の坊(閻魔)大王様には伝わりませんよ!」

 ボクが両手を叩いて注意するが焼け石に水らしい。まったく。こんな時に鬼灯様がいてくれたら、一瞬で黙りそうなんだけどな。ってか、最後のはこちらに要請出さないでよ。地獄は地獄で手いっぱいなんだからね。人手不足で叫喚地獄(酒好きのリハビリ施設)の拡張工事だってまだすんでないんだし。

「ところで閻魔大王様。鬼灯(ほおずき)様は?」
「ああ。彼なら等活地獄に視察に出かけてるよ。
鬼灯君もこの忙しさにてんてこ舞いなんだよ。」

 そうですか。とりあえず、聞きたいことも聞いたし、ボクは木偶の坊を持ち上げて鬼達に投げつけた。

「てめぇら!! いっぺんに言ってもそこの木偶の坊が対応してくれるわけ無いだろうが!! 1人づつ喋れ!!」

 ボクの言葉に皆がシンと静まりかえる中閻魔大王様が体中を痛そうにしながら立ち上がる。

「やれやれ。やっと静かになったか。…アレ? ねぇ。唐瓜君は?」

 桃源郷に人材貸し出しの要請を持ってきた新卒がいないのに気づいた。まあ、鬼灯様の所だろうし、あまり気にしなくてもいいかな?
しばらく、各地獄からの陳情に四苦八苦していると、

「只今帰りました。」

 と閻魔大王の補佐官の鬼灯様が戻られた。

「あの、鬼灯様? 唐瓜君に会いませんでした?」
「会いましたよ。云鬼(うんき)さん。とりあえず、桃源郷と不喜処(ふきしょ)の人手不足はなんとかなりそうです。」

 ? どういう事?

「あの、鬼灯様? 地獄も人手不足でとても天国の世話まで見てる余裕は無いはずです。」
「桃太郎はご存知ですね? 彼の部下を不喜処に、桃太郎さんを桃源郷に就職してもらいました。」

 なるほど。そういうことか。心配だし、後で様子を見に行くにしてもとりあえずは問題解決だよね。


――――――――――
叫喚地獄 きょうかんじごく
八大地獄の1つで酒のみの悪行を働いたものが堕ちる地獄。
ここに墜ちた人は自覚が無く反省しないのが嫌な特徴なのは鬼灯談。

等活地獄 等活地獄
八大地獄のひとつ。主に殺生を行った人が落ちる地獄。

不喜処 ふきしょ
等活地獄を形成する16の小地獄の1つ。
法螺貝などで大きな音で動物を驚かして殺害するなどした人が堕ちる地獄。

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