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鬼灯の冷徹 補佐官のサポーター




「あぁぁ。やっぱりそうなるかぁ。」

 浄玻璃の鏡に映し出される弁護士を前に骨肉の争いしている遺族達の光景を前に判決中の亡者はショックを隠しきれないようだった。

「荒れに荒れてるね。」
「はぁ。ウチで金貯めてるの私だけですから。
兄は不器用で金はあまりないですし、弟は事業に失敗してますし、妻は他界。それは揉めますよね。
何よりショックなのはあんなに可愛がっていた姪が目の色を変えていることですよ。」

 ガックリと肩を落とす亡者の前で閻魔大王様が判決を下した。

「閻魔庁が貴殿に下す判決は天国行きだ。しかし、身内は 迭相圧処(てっそうあつしょ)行きになる可能性があることを留意してくれ。」
「…てつ…何?」
「 迭相圧処(てっそうあつしょ) 。遺産相続で自分が有利になるような嘘を言ったが堕ちる地獄。」

 亡者の裁きを傍聴していたシロ君の疑問にボクはそう答えた。

「うへぇ。遺産相続でもめただけで地獄行きなんだシビアだね。……あ。だったら犬神家もいるかな? 金田一さんにサインもらいにいかなきゃ。」
「あれは、その前に殺人罪がつくし名探偵は事件を解決した側だよ。」
「シロさん。お金は欲に繋がりやすいです。その為、大叫喚地獄は王や役人の為の地獄が2つあります。」 

 シロ君の言葉に鬼灯様とボクが説明する。

「閻魔様!! 大変です! 三途の川を渡った亡者が奪衣婆の銭を奪い婆がカンカンです!」

 裁きの間に響きわたるその声にボク達は三途の川に向かった。



「銭ー!!」

 ボク達が三途の川につくと亡者とお婆ちゃんがおいかけっこしていた。

「あの亡者、生前スリの常習者みたいです。」
「ここでスリしても意味ないでしょうに。」

 ボクが亡者の生前の悪行を調べて教えたら、鬼灯様がそう言っていた。

「ところでシロ君。奪衣婆のお婆ちゃんは何でお金を貯めてるのでしょうか?」

 物凄い形相で亡者を追い回しているお婆ちゃんに視線を向けて問いかける。

「正解はためるのが好きなだけ。でも、これは別に罪でもないんだよね。」
「へぇ。そうなんだ。てっきり金持ちはみんな地獄行きかと思ってた。」
「それは金持ちに対する妬みから来る偏見だよ。」

 意外な表情を浮かべる柿助君にそう答えた。

「そして、懸衣翁。この人は嫁が貯めた金で課金ゲームで遊んでる。」
「お。鬼灯さんに云鬼さんじゃないか。ちょうといい。金がないんだ。賃金を上げろ。」

 お爺さんの言葉に頭に来たのか鬼灯様は襟首をつかみあげていた。

「貴方が地獄に行って欲しいものです。」
「賃金の値上げは労働者の正当な要求でワシはなんも悪いことしとらんもんね! 遺産争いもしてないし。むしろ慰謝料で賃金をあげろ!!」

 鬼灯様とじいさんの争いを見ながらルリオ君が呟いていた。

「やっぱ金ってろくなもんじゃないな。」

 その言葉にボクは頷いていた。


――――――――――――――

迭相圧処(てっそうあつしょ)

八大地獄の一つ大叫喚地獄を形成する18の小地獄の一つ。なお、大叫喚地獄は他の地獄と違い地獄が2つもある。身内が争っているときに、身近な者が得するように嘘をついた者が落ちる。

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