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鬼灯の冷徹 補佐官のサポーター
小野篁の不思議君



ーーー秦公王。地獄で一番最初に亡者を裁く裁判長である。そんな彼には悩みがある。



「はい。ここだよ。」

 ボクが裁きの間に連れていくと、亡者は秦公王様を見上げていた。

「流石、閻魔大王は威厳あるなぁ。」

 どうやら、秦公王様を閻魔大王様と間違えているらしい。

「あの人は閻魔大王様じゃないよ。」
「え? でも、あの人は裁判官でしょ?」
「地獄の裁判官は10人いて私はその1人の秦公王だ。」

 と、よく閻魔大王に間違われることが本人の悩みである。その彼には小野篁という優秀な補佐官がいる。



「よく亡者に閻魔大王と間違われるんだよな。閻魔大王に申し訳ないよな。」
「地獄で一番最初に亡者を裁く裁判長ですから間違われるのは仕方ないかと。」

 ぼやく秦公王の言葉にボクはそう返したのだが、

「髭剃ろうかな?」

 そのぼやきに秦公王様の補佐官が否定の声をあげる。

「剃るなんてとんでもない! 一番最初には最初のインパクトがないと!」
「篁(たかむら)よ。インパクトならお主の方があるだろう。平安貴族がその髪型というのも変なんだが?」

 確かに篁様の髪は天然パーマでモジャモジャした髪を高く結い上げている。

「ところで云鬼どのような先程の亡者達だが、次の裁判にまわすまでもなく天国行きが確定した。」
「はい。こちらが亡者達の書類です。」
「はい。確かにお預かりしました。
…ところで篁様が夜な夜な地獄で閻魔大王様のお手伝いしていたというのは本当ですか?」

 小野篁(おののたかむら)。彼の特徴としとは火徐えに頭が柔軟であること。その証拠として、内裏に立てられた立て札にかかれた
『無悪善(さがなくばよかん。意味、嵯峨がなければよかったのにという皮肉)』
を読めたこと。しかし、読めたことて歌会をかけられたのだが、
『子を12並べてなんと読むか?』
の問いに、
『子子(ねこ)の子(こ)、子子子(こねこ)
子子(しし)の子(こ)、子子子(こしし)』
と答えたという逸話がある。
また、夜な夜な地獄で閻魔大王様の手伝いをしたて言われていたり、病で死にかけた彼の知り合いを閻魔大王様をとりなして現世に帰してくれたという逸話がある。

「恥ずかしながら事故で生きたまま地獄に来ちゃって、この髪で獄卒と勘違いされちゃったんですよ。」

 そりゃ、鬼は天パ多いしまちかわれるのもしかたないかも。

「ワシからもよいか? 何故にお主の知り合いをとりなした等という話が出る? それは鬼灯殿の仕事だろ?」

 秦公王様の問いに篁様が困ったようにしていたがやがて口を開いた。

「それ、朝廷の視察のために一時的に鬼灯さんと交代していたんです。しかも、その最中に彼が来ちゃったというわけです。で、現世に帰れたとき記念に閻魔大王の像を掘らせて頂きました。」

 人に歴史あり。そう納得して深く頷いた。

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あきゅろす。
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