鬼灯の冷徹 補佐官のサポーター
言葉
「キサマアァァァ!! 毎度毎度何度言ったらわかるんだ!!」
そんな叫び声が聞こえたので技術課を覗いたら、スキンヘッドの鬼の葉鶏頭(はげいとう)さんが烏頭(うず)さんに怒鳴り散らしていた。何で記録課の葉鶏頭さんがここに? と思ったけど、烏頭さんを見て納得がいった。
「お前の字は汚すぎるんだ!!」
「それを清書するのがてめぇの仕事だろうが!!」
やっぱりそうだった。烏頭さんは適当だからな。文字が大好きな葉鶏頭さんにとって字が汚いのは我慢ならないのだろう。
「葉鶏頭さんの意見に賛成です。」
葉鶏頭さんの声が聞こえたのか、鬼灯様が顔を見せて意見を述べた。その横でボクは首を縦に振っていた。
「お前らは細かすぎんだ! 誤字脱字が多いだの字が汚いだの一々うるせぇんだよ!!」
「社会人なら間違わなくて当然だっ!!」
「特に記録課は重箱のカドつっつき過ぎなんだよ!」
「重箱の隅を楊枝でつつくあるいはほじくるだ! 言葉は正しく使え!」
「言葉なんてのはな伝わりゃいいん…ぐふっ!!」
勢い込む烏頭さんの鳩尾にボクの拳がめり込み、首筋に鬼灯様のダブルチョップが決まっていた。
「その言葉が伝わらないから問題なんだろうが。」
鬼灯様の指摘にボクは頷いていた。
「試しに烏頭さんの報告書を読もうか?
俺がアサシンされた件について、
ネジが特チューなのでなる早で以下読めず。
報告書はわかりやすくかつ簡潔にというのが鉄則だよね。
わざわざ聞きにいかなきゃわからない報告書を書かないでよ。」
「ビジネス用語は難しすぎるんだよ。」
「そういうことは日本語を間違えないようになってから言え。
アサシンは暗殺者だ。」
烏頭さんと葉鶏頭さんの声が外にまで響いていたのか、
「何騒いでるんですか?」
日本地獄界のチ◎プとデ●ルこと唐瓜(からうり)君と茄子(なすび)君と閻魔大王様が顔を見せた。
「………うーん。俺は烏頭さんに賛成だな。伝わればいいし。」
茄子君の言葉に対し烏頭さんが満足そうに頷き、唐瓜君が否定の言葉を口にした。
「いやいや、そんなんばっかじゃ、いつか誤解が生まれるだろ。」
唐瓜君の言葉に葉鶏頭さんが満足そうに頷いていた。
「いーじゃん。そんなの適当で。」
『お前は立場があるだろ?』
閻魔大王様のなげやりな言葉にボク達が突っ込んでいた。
「そういえば、鬼灯様はどっち派ですか?」
「もちろん葉鶏頭さん派です。適当だといらぬ誤解が生まれますし。」
その言葉に閻魔大王様が否定した。
「いやいや、鬼灯君の本質は烏頭君派だよ。葉鶏頭君派だったら地獄は旧体制のままだよ。環境が彼を葉鶏頭君派に変えただけ。」
環境ってすごいな。閻魔大王様の言葉にボクはそう思った。
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