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鬼灯の冷徹 補佐官のサポーター
鬼と瑞獣と鬼門

「最近どうだ?」
「ぼちぼちだな。」

 淫獣の薬屋で2人の老人(1人はお孫さんみたいな顔しているけど。)がそんな会話をしている。

「…あのさぁ。薬だしたんだから早く帰ってくれない?」

「何を言うか。爺。」
「黙れ。爺。」

 爺が爺を爺と言う。

「…で、今日は瑞獣の集まり?」

 桃太郎君はボクの言葉に視線をボクに向ける。

「いや、その2人って麒麟と鳳凰でしょ?」
「そうそう。見た目からして爺なのが麒麟。」
「ふむ。わしは年相応だとおもうがの。」
「………むっかしから考え方が古臭いんだよね。年相応って言葉にとらわれすぎって言うかね。」
「そうそう。我等瑞獣は若すぎるくらいがちょうどいい。」

 と、淫獣の言葉に若すぎる代表の鳳凰が同意する。

「そういうお前は若すぎるぞ。そこまで若くなる意味あるのか?」
「公共料金半額になる。」

 ………せこいよ。

「そういえば、白澤様。この人達は何を処方したんですか?」
「腰痛の薬とグルコサミン。」
「…孫みてえな顔してグルコサミン常飲してんのかよ?」
「あと、ハルンケアも押さえてある。
切実な話、出すもんちょちょ切れんのよ。」
「ワシはプリン体か恐くてな最近は大好きなビールも飲めんのだ。」

 老人というのも大変らしいね。

「普段から女の子と遊んでないから老け込むのも早いんだよ。」
「ワシはお主のそういう不真面目さが気に食わん。
以前それが原因で地獄に迷惑をかけたことを忘れたのか?」

 ………あ、ひょっとして、

「何百年前に地獄で、黒猫や切れた草履が降ってきたり、瑞獣がお祝いしにきたりと騒ぎがあったらしいけど、淫獣と何か関係があるの?」

 ボクの問いに麒麟は渋い顔をする。

「お主らはこやつと、閻魔殿の第一補佐官殿の因縁を知っておるのか?」
「しょーもない賭けだよね?」

 ボクの問いに麒麟は頷く。どんな賭けかは、1冊の6話『2人の確執』を読んでくださると助かります。

「俺からすればいい年した大人がしょーもない事で喧嘩するよなと思いますよ。」
「どんな奴にも気に食わない奴はおるし戦争も発端はしょーもない。
じゃが、こやつらはその一件以来比べられ続けておる。
考えてもみい。嫌いなやつと比べられ続けておるのはげんなりとする。
しかも、こやつは女遊びの激しさのせいでおなごに嫌われておる。」
「でも、それって白澤様の自業自得じゃ?」
「そうじゃのう。」
「BAKAだBAKA。」
「流石桃源郷の白い淫獣。
『ボクと契約して魔法少女になってよ!』」

 四方八方から言われ、さらにはどこぞやのアニメに出てくる淫獣の声真似すると不機嫌になる。

「そんなある日、我慢の限界に達したのか、地獄の式典の時、
事もあろうに、この馬鹿は瑞獣が来るべきでない鬼門の方向からやってきて、鼻緒が切れた草履やら黒猫のぬいぐるみなど縁起の悪いものを大量に降らせよった。
天国と地獄の関係にヒビが入るのを恐れたワシラは地獄までやって来て全力で祝ったのじゃ。
それ以来、第一補佐官殿は白澤を目の敵のようにしておるのじゃよ。」
「…原因が下らなければ結果も下らねえ。」

 桃太郎君の言葉にボクは頷いていた。


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鬼門 鬼が出入りするという不吉な方角。

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