ごめん、好き。 興味 「集、俺ね…話、あんだ」 俺が黙りこくって質問に答える気配がないと判断したのか、たろが再び口を開く。 聞きたくない。今は、何も聞きたくねぇんだ。 続きを紡ごうとするたろを自分の方へ引っ張った。いつの間にか俺とたろの間には30pほどの隙間が出来ていた。 「俺……っえ、や、だ!」 たろの頭に手を回し、続きを喋らせないように胸に埋めさせる。 俺に話を止められた所為か、たろが非難の声を上げる。 ――ほら、手を伸ばせばこんなに直ぐ抱き締められる距離にいるのに。心は遠い。 これが本当の俺たちの距離じゃないんだと思うと、胸が痛かった。 「たろ、さっき何でキスして、何でえっちしたいって言ったのかって聞いたよね。 答えは簡単なんだよ。」 「え…」 俺の真下でたろが弾かれたように顔を上げる。顔が明るくなったのは気のせいだろうか。 お前を、手に入れられたら何でもいい。心が貰えないんだったら身体を貰う。 それくらい貰ってもいいだろ? 「―…興味だって。たろ、男好きなんでしょ?俺別に偏見とかないけどさ、やっぱそんなん興味あんじゃん。 あ〜何かたろにあてられちゃったんかもね。前から男ともしたいって思ってたし。でもノンケとヤるって何か嫌じゃん?同意得んの難しいだろし。じゃあ初めっからその気のある奴とヤった方がいいと思わない? たろだったら、ヤらしてくれそうだし。たろ具合よさそうだしさぁ。男同士って気持ちいらしいよ。気持ちよくなれんならいいんじゃないの?」 口が止まらない。出てくる言葉は最低以外の何ものでもなかった。 たろへの想いはもはや狂気だった。そして俺を選んでくれなかったということで一気に暴発した。 あの時のたろの顔は忘れることは出来ない。 もう後戻りできないと思った。 . [*前へ][次へ#] |