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小説
What day?




「ねーねー獄寺さん!今日何の日か分かります?」
朝一番。おはようも言わぬまま コイツは女特有の面倒くさい質問を言い放った
思うに、典型的にこの手の質問は男を困らせることしかしない。
なんたってこの期待に満ちた顔。ぜってー男側に全くもって覚えがないなんてこれっぽっちも思ってない。

とまあ世間一般の本音はさておき、とりあえず質問に答えねーと朝一番で喚かれそうだから今日は何の日かを考える


カレンダーで今朝確認したには、今日は7月24日。


で?まず誕生日じゃねーな。
初めて手ぇ繋いだ日?そんなもん2ヶ月前に同じように質問されて、答えられなくてビンタされた。
付き合った日はとっくに過ぎたし
ファーストなんたらはもっと先

するってーと


するってーと……… なんだ?


考えたが、なに一つ思い浮かばない
思い当たる節もない
世間では真ん中バースデーだかなんだかが流行っているがオレとハルのは先日の7月6日に強行された。


「 獄寺さん…まさか分からないなんてことは無いですよね?」
さっきの笑顔もつかの間、今度は顔を曇らせて確認するかのようにオレの方を凝視してきた

何か答えなければとなおも頭を回転させたが答えは出なかった
誰かの誕生日でもねーし、ナミモリーヌの半額デーでもねーし…

ダメだ。テキトー言って怒らせんのはまずいから正直に言おう

決死の思いで顔を上げ、バツが悪かったので目は逸らす
「………分かんね」
次の瞬間何が飛んでくるか分からないので心の中で身構えていたが、予想に反しハルはパッと顔をほころばせた
「ふっふ〜やっぱり鈍感な獄寺さんには分からないですよねっ」
「は?」
やっぱり?つか、鈍感だぁ?


「今日はですねぇ…」


「今日はツナさんとハルの真ん中バースデーなんですっ!」
すごいでしょう!と目の前のコイツはドヤ顏で言い放った訳だが………

納得……いかねぇ…

「んな………」


「んなもん分かるかこんのアホ女ぁーー!!」
オレのまじめに考えた時間を返せ!
盛大にデコをはたいてやるとハルは反撃とばかりに反論を並べ立て出した
「はひぃっ!?だって獄寺さんの尊敬するツナさんと愛するハルの真ん中バースデーなんですよ!?これは絶対アニバーサリーです!獄寺さんが最も喜ぶべき日です!」
「ざけんなアホ!」
「彼女にアホとはなんですか!ハ・ル!み・う・ら・ハ・ルですよ!」
「だぁぁうっせーな!朝っぱらから耳元でデケー声出すんじゃねーよ!」
「どっちがですか!学校遅刻したら獄寺さんのせいですからね!」
ピタッ

町内に響き渡るかのような怒涛の口喧嘩が一瞬にして静まった
そして同時に、場の空気が凍りついた

オレがここに着いたのは7時50分過ぎ
一体オレらはここで何分会話をしていた…?


「オイ ハル…今、何時だ」
そう聞くと、ハルは恐る恐る袖をめくり腕時計を確認した。
するとワナワナと手を震わせて涙目で文字盤を指差して見せた

「8時……13分ですぅぅ…っ…!」
HRまであと7分。

ここから並盛高校は15分の距離。
どう頑張っても、

遅刻、確定。


「は、走るぞハル!!」
強引にハルの手をつかみ、徒歩15分の並盛高校までの最短ルートを突っ走る
「わあぁ…っ!なんでハルとツナさんの真ん中バースデーの素敵な朝からマラソンなんですか〜!」
「泣き言言ってねーでとっとと走れ!」
「ううぅ分かってますぅぅ〜!」

全速力で裏道を駆け抜ける二人
結局この日のHRには間に合わず、二人揃って遅刻した。





HRが終わった後、ツナは獄寺の机に歩み寄った
「ねえ獄寺君。どうして今日二人して遅刻したの?」
「ああ、それはですね……」
疲れ切った表情で、獄寺は呟いた

「今日は10代目とハルの真ん中バースデーだからです…おめでとうございます10代目」
ハハハ…と力なく笑うと獄寺は早朝ランニングの疲れで机に沈んだ

その様子を見て、ツナは思った

何故このカップルは、彼女と他の男の真ん中バースデーを祝うのか。と。

その様子を見ていた山本がツナにそっと耳打ちをした
「獄寺って時々不憫なのな」
「ああうん…。そうだね」
かたや教室の隅では、京子とハルが楽しげに真ん中バースデーのお祝いにケーキを食べよう!などと言うような話をしていた


「ハルも鈍感っていうかなんていうか…」
「オレ今度獄寺に寿司奢るわ…」
「そうしてあげて…」


今日は何の日?

彼女と彼女が元好きだった男の真ん中バースデー。


End.


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