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小説
甘やかされて愛されて



夏って季節はどうしてこうも…

心霊特集ばっかりなんですかーーーっ!!


「き…キィヤァァァァッ!怖いっ!怖い怖い怖いですーーーーっ!」
「っるせぇな!聞こえねーだろーが」
「ハッ、ハルこういうの昔から苦手なんですよ!!」
「知るか!」
彼がお怒りの声を上げるが、正直ハルはそれどころではない。
幼い頃からこの手の番組にはどうしても慣れなくて、それはそれはもう怯えていつも親の後ろに隠れながら覗き観ては絶叫してました

なので今も例に漏れず獄寺さんの背中に張り付いているわけですが…

「ひやーーーーっ!な、ななななんで世の人たちは廃墟とかお墓とか面白半分で行っちゃうんですか!馬鹿なんですか!?馬鹿ですよね!?」
「だからうっせーんだよ!!ちょっとぐらい黙って観てらんねぇのか!」
とうとう獄寺さんはハルに怒鳴り声をあげてハルを引き剥がしに来ます
けどハルはぜーったいに離れません
まあ、獄寺さんはUMA大好き人間ですから 至って真面目に見入っているのでハルを邪険にするのも仕方ないんですけど…

「ったくそんなんだったら観なきゃいいだろーが」
「だっ…だってそんな 最初の方観ちゃったのに一人でいるなんて怖くてできないですよ……っ!」
「ハア?」
「一人で居るよりだったら獄寺さんと一緒に観てる方が、まだネギ一本分ぐらいマシ…というか」
「ネギ一本ってどんぐらいだよ」
「はわ……うぅ……怖い…です」
テレビを彼の肩越しにチラ見する。
背中に体を預けて震えていたら、ふいに彼がクルリと後ろを振り向き ハルの体はそのまま前に引き寄せられて…

「はひっ!」
「素っ頓狂な声出すんじゃねぇ」
「だっ だって急に引っ張るもんですから…」
言い終わる前にハルの体は獄寺さんに抱きしめられて…伝わる体温があったかい

優しく背中に回された彼の手がハルの背中をあやすようにポンポンと叩く
「ちょっと獄寺さん…ハルは子供じゃないですよ…」
それこそ子供のようだが頬をむくれさせて上目遣いで彼を見つめた
「まんまじゃねーか精神年齢中学ん時から変わってねーもんな」
「む!!ひどいです!」
「………ふーん?」
ポカポカと軽く腕を殴ると彼は フッと悪戯な笑みを浮かべた
あ、なんかわるだくみしてる顔です…

「そら!」
「はひっっ!!」
予想通り、頬を両手で挟まれると首をテレビの方に向けられた
その先には白い手の幽霊が…

「ヒ……ッ!!」
ハルは怖さのあまり その場で飛びのいて獄寺さんの首にしがみついた
「んだよ。あんぐらい」
彼は笑いながら軽口を叩いているけれど ハルはあまりの怖さで、涙目になりながら肩に顔を埋めた
そしたら 予想以上にハルが怖がったせいか、ちょっとバツが悪そうにハルの体を抱きしめてきた

「……ハル?………おい、悪かったって。ほら 顔あげろよ、今はCMだぜ」
それはまるで子供を宥めるように ゆっくり、ゆっくりと
でもハルは顔を上げられません
だってあんまり幽霊の顔が怖くて、なんだか頭に張り付いて、震えが止まらなくて…

もう…獄寺さんの意地悪…バカ…ハルが怖がりなの知ってるくせに…
ぎゅっと首に巻いた手を強くすると彼は困ったようにハルの髪に手を差し入れた
「おいオレを締め落とす気かよ………ハル」
そーですよ。ハルにこんな怖い思いをさせたアウトローな人にはおしおきですから…
心の中で文句を言うと 前髪がサラリとかきあげられた

何だろう
顔を上げようとすると おでこに優しいキスが降ってきた

「なあ、機嫌なおせって… 泣かせようとしたんじゃねーよ…けど…わりぃ」
ああ、この声は
すごく反省してる時の声…
きっと悲しそうな顔をしています、隼人さん
まったく仕方ない人ですね。
私だって…獄寺さんに悲しい顔はさせたくないですもん

ノロノロと顔を上げて 思いっきりニラんでみると彼は少し申し訳なさそうな、それでいて安堵したような表情を浮かべた
「ぅ〜………獄寺さんの…バカぁ……」
「ハイハイ…悪かったよ」
「そう思うんならテレビ入ってる間ハルのこと抱きしめててください」
「は!? なんでだよ」
「怖いんですもん………隼人さんさっきから一人でテレビに張り付いてるし…ハルのことほっとくし…怖い上に寂しいなんてイヤです」
グスと目尻の涙を指で拭うと 彼はなぜか面食らったような顔をして 顔をそらした

「お前なぁ……… ハァ」
「なんですか今のため息。失礼な」
「ため息じゃねぇ。白旗降参 って意味だ」
「へ?」
「ったく…オラ とっとと前に来い」
「わ…」

彼があぐらをかいた上に座らされて 更にその上から包み込まれた

「これでいーんだろ」
照れているとバレバレなのに、それを隠そうとぶっきらぼうに言い放つ彼がとても愛おしい

「はいっ これでネギ三本…いえ四本分ぐらい満足です!」
「だからなんなんだよその例え…褒められてんだか けなされてんだか分かんねえ」
「ふふ。褒めてますよ。それよか、今後もしハルが叫んでも突き飛ばしたりしないでくださいよ?」
「んなこたしねーよ。ただ不慮の事故で手が勝手にお前の口を塞ぐかもしんねーな?」
「はひっ!そんな誘拐犯みたいなことしないでくださいっ!!」
「ははは あ、始まったぜ」
「う…ぎゅっとしといてくださいね…」
「ほんとにガキみてーだな」
「………。」
ふーんだガキみたいでもいいですもん

また恐怖映像が流れ始めて 震えがまた体を走る
すると頭上から低い声、
「しょうがねーやつ」
あ、震えが止まりました。まあ、それもそうですよね。だって獄寺さんがハルをぎゅっとしてくれてるんですから。

もうなにが来たって大丈夫です。
そう自信満々にテレビを観て……いたんですけど

『バーーーーンッ』
『ぎゃああああああ』

「ひ!!」
悲鳴を上げそうになると、ハルの肩の上から胸の前あたりで繋がれていた隼人さんの両手がサッとハルの両目を隠した

「ほら、怖くねーだろ」
「……見えないだけじゃないですか」
「じゃあ こうだ」
不意に顎にかかる彼の長い指
キス。
そう思い至った時には既に彼の顔が目の前にあって

自然と目を閉じて その甘さを味わう
なんて甘い
京子ちゃんと食べに行くケーキよりも、ずっと…ずっと

「ん……」
長いそれに心が溶けていきそうになり 呼吸が苦しいことに気がついて声を上げる
そっと離された唇が妙に寂しい
「落ち着いたかよ?」
髪をクシャクシャとかきあげながら フッと笑って言う彼の目尻が少し赤く見えた

「ねえ 隼人さん」
一つお願いしても 良いですか?

「寝るときは…手、繋いだまま…寝てくださいね」
そう言うと彼は一瞬 考え込んだと思うと微笑を浮かべて言った

「それは無理だな」
「なんでですか」
「今日は…んなこと考える暇なんて やんねーから」
「………隼人さんのヘンタイ」
「なんとでも言いやがれ」

ハルは毎日甘やかされて…いつかアイスみたいに溶けちゃうかもしれない

結局そこからはテレビの内容はロクに頭に入ってこなくて
隼人さんに「お前がちょっかい出すから…」なんて言われたけど、ハルはちょっかい出したつもりなんてこれっぽっちもないんですからね!


でも、まあ隼人さんがギュッとしててくれたのはかなり安心しました。なのでこれからもしてください。
そう言ったらまた抱きしめられたりして、


こわくなんかない。あなたがいれば、あなたがハルを抱きしめてくれるなら



End.




























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あとがき

かなり前に書いたのをフォルダから引っ張り出したのでガッタガタです…読みづらきこと山の如し!(何を言ってる)

駄文でした。すいませんm(_ _)m

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あきゅろす。
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