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小説
Fanfare!B
たった今食べようとした肉が目の前でワインまみれになった。
原因は分かっている…
ボスが投げた(中身入り)ワイングラスをカスザメが弾き
それをエロジジィが躱し
オカマが小指で突き
最後にクソ王子がナイフで空中破壊した

結果
中身のワインのみが私の大事な大事な肉を台無しにした

……私は未成年である。よって酒類はまだ飲めない。確かにマフィアは無法地帯であるが
こういう事はしっかりしていたい私は酒類を飲んだことは無い。ていうか誰かの飲みかけのワインなんてかかったモン食えるかぁぁぁ!!


「………てめーらぁ……」
ゴゴゴゴゴ…とドス黒い空気を放つ
ボスは仏頂面のまんま
スクアーロは興味なさげに
ルッスーリアは心配気味に
レヴィは肉勿体無いという顔で
ベルは何が始まるのかワクワクしている様子で
私を注視する

そんな雰囲気の中、私は怒りマックスで叫んだ

「野菜を食えコンニャローーーー!!!」
空気を操り、綺麗に盛り付けられた野菜をそれぞれの皿に大量に取り分けてやった
そしてキッチンへ行きデカイ鳥を丸ごと焼いてテーブルにドンと置いた

ベルが歓声をあげて鳥の丸焼きに手を伸ばすがそれを風のカッターで遮る
すると、彼が肉に伸ばしかけていたフォークは無残にも真っ二つになって墜落した
「うげっ」と悲鳴をあげて素早く手を引いたベルが私を睨んだ
「なんだよ」
「切り分けるから黙ってろ〜…」
強い口調で言えばつまらなそうに唇を尖らせて席に着いた
風のカッターで公平に六等分し再び皿へと運ぶ

全てを終わらせるとストンと椅子に座った
「これでみんな公平。さあ食え、野菜も残らず!てか人の肉を取るなよ!ご飯ぐらい落ち着いて食えよ!!以上!食え!!」
言いたい事を言い終わると激しく息が切れていた。息継ぎなしに一気に喋ったらしい。
一方叱られた方は目を丸くして固まっている
つい何時間か前に入隊した奴がいきなり肉を焼いて野菜と一緒に取り分けた挙句景気良く説教をかましたのだから無理も無いだろう
しーん…という静寂が食堂に訪れる

お腹が空いていた私はいただきますと手を合わせて 自分の分を食べ始めた
ボスの「ケッ」という声でやっとこさ皿に目を移した隊員たちがナイフとフォークでお行儀良くご飯を食べ始めた

その日から、私はご飯の盛り付け担当になった

………でも結局最後は乱闘騒ぎになるけどね!!

これが、私のヴァリアー1日目の思い出。
お風呂はロン毛が占領したので近くの川に行きましたとさ。
明日は絶対一番風呂してやる…
そう心に決め ヴァリアーでの夜は更けていくのだった。





私がヴァリアーに入隊してから はや5日。
どうやら私は暗黙のうちに雲の守護者として認められたらしい。

そして早朝、幹部達がホールに集められた。
ボンゴレから仕事が来たのだ

内容はボンゴレの反対勢力の鎮圧。
委細を言えば、最近不穏な動きを見せている対立ファミリーが強力な暗殺部隊を立ち上げ、ボンゴレ陥落を狙っているとのこと

つまりは目には目を歯に歯をと言ったところだ

───暗殺部隊は暗殺部隊に片付けさせる…ってことね。

指令書を速読しつつ、概要を説明している作戦隊長ことスクアーロさんの話に耳を傾ける
さしもの彼も今回は珍しく声を潜めて、だ
「最近出来たとはいえ中々の精鋭揃いらしいからなぁ。油断すんじゃねぇぞ」
くれぐれもと静かにクギを刺す隊長に「ほーい♪」とベルが余裕の返事を返す
「あと雑魚も多いみてぇだから それぞれの部隊から腕の立つやつを数名連れてけぇ。誰を選ぶかは任せる」
ん?部下?
「ハイハーイ、ちょっと質問」
「んだぁ」
「私 部下とか知らんけど、あんの?雲の部隊って」
つい最近幹部になったばかりの私は部下など全くもって知らない
それに、もし雲の部隊があったならばそこからリーダーたるものを選出することも出来たはずだ
それをしなかったということは実力のあるものが居ないか 部隊そのものがないかだ

私の質問にロン毛がそれはそれは楽しそうに咆哮した
「う”お”ぉおぃ!いい質問だなガキぃ。安心しろ、雲の部隊なんて…ねぇぞぉ!」
「やっぱりー!?」
どこが『安心しろ』なんだこのクソ白髪ぁぁぁぁ!!
ケロっと開き直り…というより自慢気に語るヤツにしっかりガンを飛ばしてやると、物騒にもナイフを手入れしながらベルが近づいてくる
「まーせいぜい一人で頑張りなよ♪こんぐらいの指令一人で出来ないようじゃヴァリアーの幹部としては不適格ってこった♪」

む……何をお言いかこのくそプリンス…
煽られたと分かっていても、私の沽券にかけてここで引き下がるわけにいかない
「ふんっ 言われなくても殺るからご心配なくー! 」
プイッと顔を背け、先ほどから話を聞けゴラァ!とがなる方へと向き直り、細かな作戦を伝えられた

───作戦決行は明朝5時…遅れんじゃねぇぞ…っと。

頭に予定メモを貼り付けて明日へ備えることにした





暗殺計画実行日。私の初任務

昨日スク隊長が言うには
まず嵐、雷、雲の部隊にて三方向から奇襲、出てきた雑魚どもを蹴散らし本丸の暗殺部隊と会い次第通信機に連絡を入れ、他部隊が揃うまでは単独でバトル開始。
後に晴、雨部隊で残りの鎮圧及び情報収集。
最終的には敵暗殺部隊を一人残らず暗殺し敵対ファミリーに見せしめる…と。

つまり、大量の敵に対し私は一人でやらなければならない
少しでも他の二部隊に遅れれば取り逃がしが出たり、遅れている私の方向に逃げた雑魚が集まる……ということで…

きっつーーーー!!

思わず計画書を叩きつけそうになったがすんでのところで思い留まった
エライ。エライぞ私

何を言ったところで ヴァリアーの幹部である以上任務はやるっきゃない。
私の実力を見せつけるチャンスでもあるのだから

決意を新たにすると耳につけた通信機から「ガガ…」とノイズが聞こえた
『う”お”ぃ!聞こえてっかぁ!』
ッキーーーーーーン!!
う……ッるせーーー!!
「ちょっ!隊長めっちゃうっさい!」
『ふ、まだまだだな娘。』
『そうだぜー新入り。オレらはとっくに音量最小だ♪』
『そうよ〜ん、スクのマイクテストはいつもこんなだから気をつけてネ〜』
くっ…みんなは対処済みだったか…
「もう…初っ端から鼓膜破れるとこでしたよ」
と愚痴を零しつつ感度さいっこーに良し、と一言伝えいよいよ突入開始時刻

『よし、嵐、雷、雲部隊、いけぇ!!』
『うぃーす。行くぜオマエらー』
『雷撃隊!出陣!』
「おっしゃいくぞー!って一人じゃん…」
何が部隊だ。隊じゃないもん、もはやただの部!!部隊の隊が消えた部!!

イヤホン越しに聞こえる盛り上がった歓声を羨ましく思いつつ、自分の言ってることにさえ訳分からなくなった私は一人寂しく西門から突入した





進めど進めどワラワラと溢れ出る雑魚共
やってらんないよもーーー
ワイルドに、大雑把に、片っ端から風で弾きまくる
その間にも通信機からはお気楽な会話が聞こえてくるのだからムカつく
『おーい風女。苦戦中しっつれーい』
「誰が風女だナイフ殺人狂。苦戦なんてしてませーん。よゆー、ありえないぐらいよゆーですよー?」
イヤホンに向かって叫んでやると何故か正面から「おのれえええ!!」と青筋を浮かべて襲いかかってくる暗殺者ども
「あー!ベル嵌めたなー!?」
私は彼の声がイヤホンで聞こえているが、目の前の物騒な方々には聞こえていないわけで…

目の前でよゆーよゆー言われたらそりゃ怒るわ

『っしし、騙される方が悪いっての。ま、これで取り逃がしても外のロン毛とオカマがなんとかしてくれっから安心しろよ♪』
「誰が取り逃がすかバーカ!40秒!40秒でボッコボコにしてやるし!全滅させたるわあ!」
『ししし…っ』
あ、またやってしまった

とか言いつつもこんなふざけた会話しながらでも余裕で闘えちゃうんだから実際余裕

って事でリンチパーティーのハジマリハジマリー



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