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小説
要注意人物H


「獄寺さーん、入りますよー……って何してるんですかぁぁぁぁ!!」
スライドのドアを開けて獄寺さんの病室へ入ると目の前にありえない光景が広がっていた

怪我も治りはじめだから、こまめに包帯を取り替えようと話し合ったのがつい昨日のこと。残念ならがハルは獄寺さんの担当になってしまって 仕方なく病室に来てみたら……

ああ、なんてことでしょう。

せっかくハルたちが早く怪我が治るよう尽力しているというのにこの人はといえば……

「な、な、なんてことしてるんですかあなたはーーーっっ!!」
あろうことかベットの上で腹筋を試みる獄寺さん。アウトローです、いや寧ろクレイジーです

「っせーな!入ってくんなアホ女」
ハルの制止なんてぜんっぜん耳に入ってないご様子。ていうか聞く気ありませんね!?
「はひ!そんな言い方ってないです!ていうかまだ怪我治ってないのにそんな無茶してー!」
「あー、るせーるせー。オレは一刻も早く強くなんねーといけねーんだよ!」
「そんなの後ですればいいじゃないですか!今は大人しく怪我治してくださいよ」
「くっ……こんなことしてる間にも10代目は…」
「それはもう聞き飽きました。とりあえず大人しくしててください、今から包帯巻き直すんですから!」
頭に当てられた腕をがっちり掴んで、今巻いてある包帯をシュルシュルと外す
「っテ……」
「ほら、まだ痛むのに」
「チ……」
包帯の下に貼られたガーゼを慎重に剥がすと、彼はささやかに顔を歪めた

「うーん…だいぶ治ってきてますけどまだもうちょっとかかりそうですね」
「もうちょっとって、どんぐらいだよ」
「軽く見積もっても1週間は…」
「1週間だぁ!?なげーよ!」
「あっ、ちょっと!」
獄寺さんは強引にハルの手を振りほどくと、ベットから降りようともがきだす
これ以上無理に動けばせっかく塞がってきた傷口が開きかねない…!

もうこれ以上正攻法でこの人を押しとどめるのは不可能だと最終兵器を取り出した

「もーーいい加減にしてくださーーーい!!」
とうとう堪忍袋の緒が切れたハルは鷲掴みにしていた新しいガーゼに、一番効き目があって一番沁みる消毒液をしこたまぶっかけて強く腕に押し当てた
途端「ぎゃああああ!!」と病室に響き渡る獄寺さんの悲鳴

「大人しくしてくださいっ!!」
ハァ ハァ と息を切らしてなおもガーゼを押し当てると、彼はジタバタと更に暴れだした
「だぁぁぁぁ!わーったから手を離せ!!いででで!!」
身をよじりながら涙目になって悲鳴を上げたのでハッとなって手を離した

「だっ、大丈夫ですか?痛かったですか?」
「イテーに決まってんだろアホ!」
ジンジン痛むのか 獄寺さんは涙目のままハルを睨みつけた
なんか…ハルやりすぎちゃいましたかね。でも元を返せば獄寺さんのせいですから。
とりあえず反省の意を見せ、テーブルに置いてあったいつも使ってる消毒液を手に取った
「他のところはちゃんと普通の消毒液でやりますから…ね?」
申し訳なさそうに頼むと苦々しい顔をしつつも「仕方ねーな…」と素直に身体を起こした

後は腰だったり背中だったり足だったり…何というか全身怪我だらけで、消毒しながら時々目のやり場に困る

やっと全部の箇所に包帯を巻き終えて、パイプ椅子に落ち着いて一息
「ふぅ…これでミッションコンプリートです」
「…サンキュ」
珍しくお礼の言葉なんかを聞かされて、この人は本当にあの獄寺さんなのだろうかと疑いかけた
「いいえー、でもあなたが最初から素直に観念してればもっと早く終わりましたけどね」
「るせぇ…、オレは出来ればすぐにでも動きてーんだよ」
これで懲りたと思ったのに全くでした。
右手を強く握りしめているからせっかくハルが綺麗に巻いた包帯がしわくちゃです

「だったら早く治すことですよ。また無茶なこと始めたら飛んできて消毒液で寝かせますから」
「怖えーこと言うな!…ったくよー…」
そのまま獄寺さんがゴロリとハルに背を向けて寝っ転がってしまったので、ハルは大人しく退散することにした
「ゆっくり休んでください。また後でお昼ご飯持ってきますから♪」

そう言って部屋を出た後、コッソリ隙間から中を覗き見てみた。そしたら案の定獄寺さんは寝たりなんてしなくて、
ただじーっと綺麗な貝の彫刻がついた指輪を指にはめて眺めていた
時々目をつぶって歯を食いしばってたりしたけど、「くそっ、つかねぇ…」とかなんとか呟いてまた指輪を枕元に置いた

なんなんでしょうね?ハルにはミステリーな事がいっぱいですよ。獄寺さん





ここ最近、京子ちゃんと洗濯をしながらの近況報告が日課になっていて、
京子ちゃんによれば山本さんも同様に竹刀に手を伸ばしていたらしい

「血気盛んなのもいいですけど看病する方の身にもなってほしいですよね」
「そうだね。早く、元気になってくれたらいいな」
「はい!そのためにもハルたちは家事を頑張りましょー!」
「うんっ、頑張ろうね!ハルちゃんっ」

京子ちゃんとハル。
拳を高々と突き上げて、花嫁修業頑張ります!


End.



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あとがき(つぶやき)

アニメでハルが獄寺を看病するシーン……萌え殺されました。
ありがとうアニリボスタッフ!!獄ハラーにとっては涙出るほど嬉しかったです!(*T Δ T)コイツら…ッ

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あきゅろす。
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