うたプリ夢・短編集
☆03☆
テンパってるのは彼だけではありません。私もテンパっています。当たり前じゃないですか!ぱんつの持ち主とベランダでばったりなんて!誰が想像したか!!
「えと……どうすればいいですか?」
何したかったんですか私!?返す以外に何したかったんですか!?
「返してほしい、かな」
ですよね!わかっていますとも!むしろ返してほしい以外の要求されたら困ります!!
ベランダの端ギリギリまで行くと、ぱんつ持つ手をお隣りさんの方へ頑張って伸ばします。意外と距離が長いです。お隣りさんも頑張って手を伸ばしています。そしてちょっとの間試行錯誤すると、無事ぱんつはお隣りさんの手に渡りました。よかったね、ぱんつ。お前の主人の元へ帰れて。
「ありがとね」
照れ臭そうな顔をしてお隣りさんはスマイルをこちらに向けました。さすがアイドル。素敵な笑顔をありがとう。
「いえ、どういたしまして」
思わず「こちらこそありがとう」なんて言いそうになったけれど、今その台詞を言ったら誤解されかねないので心の奥にそっとしまい込んでおきました。
こうしてお互い若干の気まずさを感じながら各々洗濯物を取り込みました。
ちなみにお隣りさんは一十木音也くんです。去年の卒業オーディションで優勝していたし、テレビでよく見かけるので覚えていました。
一十木くんのぱんつ……いえ、何でもありません。やましいことなどこれっぽっちも考えておりませぬ。
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