うたプリ夢・短編集
♪06
トキヤの熱愛報道から五日。世間はだいぶおとなしくなったものの、一部メディアでは突かれている。
トキヤからの連絡はいまだなく、何度かメールを送っているが返信が来ることはなかった。
音也の方もなかなかトキヤと会えず、また紅葉と同じようにメールを送ってみたものの返事は来なかった。
完全に連絡が断たれたと言ってもいいような状況の中、紅葉は再び何とも言えない不安に襲われていた。
――トキヤくん、どうして返事くれないのかな……。
――忙しい、のかな。
トキヤを信用することが出来なくなりつつある自分に自己嫌悪を抱く紅葉。それは日を増すごとに強くなっていった。部屋で仕事をしていてもなかなか手が進まなかった。
――トキヤくんのことだから、きっと何か理由があるんだ。
――トキヤくん、今マンションにいるかな……?
――あ、この書類、音也のサインが抜けてる……。
――明後日までだけど……トキヤくんの様子見るついでにもらってこよう。
書類を鞄に詰め、紅葉は簡単に身支度を済ませると部屋を出た。
どんよりとした曇り空が今にも泣きそうだった。
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